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そばにいる人にいきなり、「息がくるしーーー」って言われたら、結構びびりますよね。経験のある方もいらっしゃるのでは? 医者になりたてのころ、夜の当直をしていて、看護婦さんからの電話で「今から呼吸困難の女性が救急車できます」なんて言われると、こっちがマジ息がくるしくなりそうなほど、びびっていました。でも、先輩ドクターが涼しい顔をして、いとも簡単に「ハイパーベンチ(過換気のこと)だね」なんて診断!! …それはそれはたのもしく見えたものです。なんといっても経験。今は余裕で紙袋をさしだしていますよ(笑)。さて、「過換気症候群」(よく「過呼吸」とも呼ばれていますね)とはどんなものか、きちんとご存知ですか?
●症状はどんなふう?
極端に深いか速い呼吸のために、呼吸困難とともに、手や足がしびれたり、動悸や胸痛を感じます。さらに症状が強くなると、手足の硬直やひどい時には意識を失うこともあります。背景に情緒不安定があって、精神的ストレスや身体的ストレスが加わっておこります。精神的ストレスとしては不安や緊張、興奮など。コンサートで失神!!なんていうのも、極度な興奮によってひきおこされた過換気の可能性がありますよね。
●どうやって診断されるの?
経験のある医者なら、簡単な診察で容易に診断できます。動脈の血液ガス分析(静脈でなく動脈からドクターが採血して、血液の中の酸素濃度を調べます)では、二酸化炭素の濃度が低下しているのが特徴です…要するに息をしすぎて二酸化炭素がどんどんとんでいっている。その他はレントゲンを含めて正常です。
●どんな治療をするの?
まずは、息ができない!!と感じている不安感を取り去ってあげなればいけません。苦しいーーで焦ってひたすら急いで呼吸をしてたら、ますます苦しい。重大な事態に陥っているわけではないことを説明してリラックスしてもらいます。浅くてゆっくりした呼吸の指示をします。
それでも改善しないときは紙袋を用います(ペーパーバッグ法)。これで自分の吐き出した空気を再吸入させるとよくなります。あまり何度も繰り返すようであれば、背景にあることが多い情緒不安定について、本人や周りが着目して改善に心がけるべきかもしれませんね。
普段、喘息などの病気が無くて、特に風邪とかをこじらしているわけでもない若い人が急に呼吸困難を訴えたら、けっこう過換気の可能性あります。いわゆる素人判断はよくないけど、とにかく落ち着くように指示すべきでしょう。
さて、簡単にペーパーバッグ法なんて書いたけど、なかなかピンとこないですよね。よし!!デジカメの登場。またまた職場の男性に声をかけて、紙袋を手渡し、実践「ペーパーバッグ法」をお願いしました。見てくださいよお、この写真。はっきり言って、“若くもないのにシンナーやってる不気味な集団”になってるじゃないすか…。やれやれ。
あやしすぎる!(笑)
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