●2002.1月● 命を預かる仕事の重み
憧れの看護婦になって4年目です。社会的にそこそこ認められて、給料もいい仕事です。でも、「小さなミスさえ命にかかわってしまう」などがストレスとなり、重くのしかかってきて……。あんなに夢みた職業なのに、もうあまり魅力を感じません。だから、来年度中に辞めて、しばらくフリーターになろうかと考えています。これはやっぱり甘い考えでしょうか。現実から逃げているだけなのでしょうか。
(25歳 その他のサービス業 女)
 

●今井雅之のアドバイス●
明けましておめでとう! 充実した1年になるように努力してまっか? 僕の場合は、なんかええ感じ。応援してくれはるみなさんのおかげでんがな。

さて、今年も“現実は厳しいぞ”と実感するようなお便りが続々届いてます。でもあなたの場合、自分で言うてはるように、ちょっと甘いかもなぁ。だってね……“じゃ、お医者さんや看護婦さんは全員辞めなあかん”ってことになりませんか。命にかかわることをやってるからやり甲斐があるんとちがうかな。続けられてる人は、もちろん給料がいいとかいろんな理由があるんでしょうけど、やっぱり人の命を助けるという夢に支えられているんでしょう。そう考えるとあなたの場合は、“本当に好きな職業ではなかったことがわかった”ということではないですか?

うちの姉も看護婦やし、僕も看護婦さんと付き合ったことがあるんやけど、共通して言えるのは、彼女たちは根っからの世話好き。単に“白衣の天使に憧れて”とかのうわべだけじゃなくて、看護精神というのか、弱い人の世話が好きで、人の痛みがわかって思いやりがあるタイプなんですよ。そうでないとやってられないほど辛いこともあって大変な職業なんだと思う。お姉ちゃんから聞いたことがあるけど、たとえば便秘してるおじいちゃんのウンチを、ゴム手袋をはめるとはいえ、手で掻き出してあげたりするんですから。その代わり、便秘の苦しさから解放されたおじいちゃんからは感謝されるわけでしょう? お姉ちゃんはそんなとこにも働き甲斐を見出だせるんやと思いますよ。僕の昔の彼女も、僕に尽くすことに喜びを感じてたと思う。それは役者の俺が人前に出て演技することに喜びを感じるのと同じ。つまり、あなたの悩みは、看護婦さんだったら誰もがぶつかるカベというわけでもないんですよ。

お姉ちゃんにも仕事がキツいとかの悩みはあったとは思います。だけどやっぱり適性があるんでしょうね。キツいのと、やってて楽しくないというのは、別の次元の話だからね。僕だって台詞は覚えなあかん、借金は増える一方というキツさはあるけど、舞台づくりが楽しいからやめられへん。あなたを僕に置き換えたら、役者なのに「人前に出るのがストレスになるんです」と泣きごと言ってるのと同じじゃないですかね。飛行機のパイロットが「高所恐怖症なんです」と情けないこと言ってるようなもんでしょ。

25歳か……。だったら早めに方向転換したほうがいいかもしれない。楽しくなくなったら辞めることを勧めます。いったんほかの職業に就いてみて、でもやっぱり看護婦が天職だったと思えたらまた戻れるんやから。そこで資格が活きるんですよ。切り抜けろ!