おりしも座員をオーディションで決めたこの秋の舞台に向けて、ますます忙しい日々を送っております。そう、僕は役者としてオーディションを受ける立場でもあり、自分の劇団のオーディションでは選ぶ立場でもあるわけです。
オーディションって、就職のときの面接試験とよう似てるよね。だからオーディション体験者としては、今回の質問者に「自信を持つしかない」と言いたい。それには受ける企業に関する綿密な下調べや、社会情勢の勉強や、自分の主張をまとめておくことが大切。本気で入りたい企業なら、自分なりにその会社に関する考えやそこで何をしたいかも考えておくべきでしょう。それが"どこからでもかかってこい!"という余裕や自信の裏付けになって、試験官の前でそれほどあがることはなくなりますよ。
審査員を初めて体験した時に、"オーディションを受けにきた彼らは何を考えてるのか"をいかに見抜くかに集中したのを覚えてますよ。僕は受ける側も経験してるから、あがるのはよくわかる。せやから、あがっててもいい、そいつがどんな人生を生きてきて、今、何をアピールしようとしているのかを、1時間ぐらいかけていろんな方向からじっくり探っていって、引っかかるものを見つけたら、それをきっかけに深いところまで話せるように仕向けてあげるようにしましたね。企業の採用の面接でも、試験官はそんな僕の気持ちに似た眼で受験者を見ているはず。
主張がないのに自分をよく見せようと考え始めると、これがまた緊張のもとになる。あなたの場合は「自分のいいところをアピールできない」んじゃなくて、自分の長所を知らないんだと思うよ。そんなんは人事のプロにはすぐに見抜かれます。受ける企業に関しては、自分の彼氏に関することくらい詳しくなったほうがええよ! 彼氏のことなら何を聞かれても慌てへんでしょ? それは、普段から興味を持ってて知り尽くしてるからなんやね。
あとは残念ながら不合格だった時の切り抜け方も大事ですよ。ヘコんだ気分が次の面接に影響しかねへんからね。僕なんか、オーディションにたとえ落ちたとしても、悔やまずに次に進めますよ。だって"その役とは縁がなかった。僕の演じるべき役じゃなかったんだ"と諦めがつく。落ちてもそれがラストチャンスじゃない! "実力をわかってもらえなかったんだな"と受け止め方を切り替えましょう。
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