●2003.4月● 熟年離婚の危機
私は12年前に交通事故に遭い、軽度ですが身体障害者の身になりました。それ以来、行動範囲が狭まってしまい、趣味のためにとパソコンを始めました。電子メールも始めて、これまでいろんな地域の人たちとメール交換をしてきました。最初のうちは男女問わずにやりとりしていましたが、だんだん相手に女性のほうが多くなってきました。ところが、妻は「メールも不倫だ」と勝手なことを言いだし、パソコンを使用できないようにしてしまうのです。そのたびに復帰させては、隠れてメール交換を続けているのが実情です。男女のやりとりなので、確かに時には卑猥な言葉も出てきたりしましたが、しょせんメール上でのこと。自分本位の妻につくづく嫌気がさしてきました。以前から家庭内別居が続いている我が家は、そろそろ離婚か?と悩む今日この頃です。
(56歳/男)

●今井雅之のアドバイス●

来たーーっ! 携帯電話でもメールの交換ができちゃう世の中。この手の相談がいずれ来るだろうとは思ってました。個人的には、結婚してる人の異性とのメール交換は不倫だとは思いません。が、奥さんの言い分もわかるような気がする。特にメールに慣れない人には気軽な感覚は理解できへんかもなぁ。

既婚者の異性とのメール交換の善し悪しは、基本的にはケース・バイ・ケースだと思うんですよ。例えば、ダンナがカミさんに相談せずにメール友達に相談ごとをもちかけ本音を打ち明けてたら、そりゃカミさんは焼き餅やきますよ。でも、関係の距離感も重要でしょ。相談の内容によってはカミさん以外の人のほうが的確な意見を言ってくれる場合もあるよね。“夫婦という人間関係は近すぎて相談できない”とか“客観的な意見がほしい”とかね。あるいは、夫婦関係そのものに関する悩みを聞いてもらいたい時とかね。それから、専門的な立場からの意見がほしい時もある。実際、僕も“仕事に関しては彼に相談しよう”“借金のことならあの人の意見を聞いてみたい”というのがありますよ。いずれにしても、カミさんにしてみれば「夫婦なのに、なんで私をさしおいてほかの女の人に相談するわけ!?」という不満から疑いにまで発展してしまうこともあるかもね。

さて、あなたの場合。要は、このメール事件で奥さんとの関係がギクシャクしてるのか、もともと関係は思わしくなくメール事件がその爆発のきっかけになったということなのか。メール事件が原因なら、そんな小さなことで離婚するのはアホらしい。話し合いが必要です。夫婦仲がよくなかったのならば、あなたは間違っていない。僕から奥さんに「人生は楽しむもの。そのくらいは認めてあげなさいよ」と言ってあげたい。たとえ結婚していても気持ちのうえで恋をいっぱいしてドキドキするのはいいことだから、ダンナの人生を考えて大きな気持ちで受け止めてあげたいよね。56歳のオッサンが見えない相手に対してワクワクできるのは、楽しい健康的な日々を送る起爆剤になりうるんとちゃいますか? それを否定的に言うのは、SMAPのコンサートに出かけて手の届かないキムタクにキャーキャー言うのを、不倫だと怒ってるようなもんでっせ。仕事に励んで足を悪くしたダンナにメールを通して新しい世界が開けたと考えれば、むしろ喜ばしいことやないですか? 僕が思うに、おそらく核心は別の問題。もしかしたら倦怠期なのでは?

メールが不倫かどうかは奥さんが決めること。思い切って言えば、エッチしても不倫じゃない場合だってあると思うよ。会ってみたいなら隠れて会えばいいと思うし。ただし、家庭を顧みなくなっちゃおしまいですから、くれぐれも深みにはまらないように。奥さんにバレるような不倫ならやめるべきですね。“バレるんじゃないか”と少しでも不安になるなら、それは不倫としてのうしろめたさがあるわけだから会わないほうがいいよね。

最後に、僕はといえば……いっさいメールはしません。パソコンには興味ないし、ケータイメールは面倒くさい。背中丸めてちまちまと文章を打ち込んでる自分を想像すると情なくなってくる。電話でええやんか。「面と向かっては言えない本音も言える」と言う人もいるけど、面と向かって言えないことならメールでも伝えるなよ。“伝えない思いやり”や“遠慮”をなくして、言いたくないことも言えるようになっちゃった文化なんて、ダメッ!