●2004.4月● 買ったテレビが不良品!
 
4月5日(月)

フランス人のクラスメート、マチルダが今週でフランスに帰ってしまうので最後に食事をしようということに。Blue Noteの前で待ち合わせしたら彼女の友達のJulia(彼女もインターン学生)とその友達も一緒だった。この近くで前に来ておいしかったレストランがあるからそこに行こうとマチルダには言ってあったので4人で向かったら、Juliaとその友達はここに数日前に来たとのこと。友達は10日しかNYに滞在しないのでせっかくならほかのレストランに行きたいということで、私とマチルダはこのレストランに、彼女達はほかのレストランに行って、あとで落ち合うことになった。日本人だったらここまできて別々のレストランに行くなんてことあまり思いつかないけど。とにかくマチルダと二人でレストランへ。

日本人の私とフランス人のマチルダは、感覚が似ているところが少なくないみたい。産まれ落ちた国がたまたま日本とフランスだったけど、ずっと祖国で育って知らないうちに世界の中の恵まれた国の国民として大人になって、こうしてNYという人種のサラダボールみたいなエリアに来るといろんなことを感じる。日本は特別な外来語に「お」をつけるけど国に「お」をつけるのは「おふらんす」くらいだろう。日本人にとってフランスって特別な存在なんだよね、みたいな話をした。憧れの国だよね。日本人にとって。もちろん、NYの人もフランス人とドイツ人には特別な感情を抱いているのをたまに感じる。日本人はその点、あらゆるものを手に入れた国だけど、アジアってだけで別扱いな感じ。

彼女は今回NYに来る前にル・モンドを辞めて、新しい仕事をみつけてからこっちに来たから、どうしても来週から働かないといけない、もうすこし滞在を延ばしたいけど無理なんだそうだ。新しい職場はル・モンド傘下のウイークリー新聞の会社らしい。もともとカトリック系の強い新聞社だったけど、最近ル・モンドが買収してからインディペンデントな方向へ変革しようとしている最中で、そういうのを自分の目で見るのが楽しみだと言っていた。日本だと右とか左とかで話をするけど、フランスではカトリックとかそうじゃないとかで話をするんだなと思った。彼女と話をしていると、フランスという国が豊かな国だということと、同時に日本も豊かだと感じて、幸せな国に生まれたなとつくづく思う。

 
 
4月13日(火)

今日は家にアーティストのルームメイトの仕事場のCo-Workerロベルトと、上に住む日本人のあきさんと、そのルームメイトのアルベルトが来た。ルームメイトが夕食を作ってくれた。ロベルトはブラジル人で、日本と中国とそのほかにも(?)血が混ざっている多国籍人で、見た目は普通に日本人みたい。でも英語を話す。あきさんもこっちに2年以上いるのでペラペラ。ということで英語での会話になった。

この前読んだNYの歴史の本に、1500年前後のヨーロッパからアメリカ大陸に来た探検家の中には、ブラジル人と戦って敗れて彼らに食べられた人もいると書いてあったので、ものすごいびっくりした。ロベルトに本当か?と聞いたらそういうこともあっただろうと言っていた。アルベルトは2階に住んでいるのに一度も会ったことがなかったので、今日が初対面。小柄なトリニダード・トバゴ出身のアメリカ人。ジャン・ジョルジュが経営している「66」というチャイニーズフレンチレストランで働いているらしい。前から名前だけは聞いていたけど、こんな身近にそのレストランで働いている人がいてなんだか嬉しかった。ジャン・ジョルジュ氏はとてもいい人だと言っていた。風刺漫画を描いていてみせてもらったけどとても上手。ヒップホップ調のキャラクター。ファッションデザイナーのことも詳しくて、彼がダリの絵が好きだというから、ディオールのガリアーノはダリに似ているよね、って言ったら「そうだよねー」って言ってくれた。こういう話題が通じる人に会えて嬉しいな。デザイナーは誰が好きなんだ?って聞かれたから「アイザック・ミズラヒ」って言ったら彼の店が42丁目のGAPの並びにあるよって教えてくれた。この前違う場所を一生懸命探していたみたいでみつからないわけだ…。私はメトロポリタン美術館とか4〜5回行ったけどあまりもう興味がなくなっちゃった、とロベルトに言ったらマーティン・スコセッシのイタリアのドキュメンタリーを観るといいと言われた。なんだか楽しそうだ。今度観てみよっと。

 
 
4月14日(水)

4日前の日曜日にテレビとDVDを14丁目の激安電気屋で買った。かなりの安さだったので不良品もあるだろうなと思いつつ家についてテレビをつけたら、案の定、変な轟音がするばかりで全然見れない。不良品だった。アメリカ人にクレームをつけたり交渉したりするのは、ただでさえ英語が不自由な私には最も気が重い作業だ。翌日店を訪ねたが、イースターで休み。その翌日も休みだということで、水曜日の今日、テレビ屋とやっと電話が繋がる。

買ったときに担当だったMikeに「テレビが壊れていたから交換しに家まできてくれ」と言ったら「店に持ってくればすぐに交換する」とか言うから「テレビは大きく重くて電車に乗って持っていくわけにはいかないから引取りに来て欲しい」と言ったら「わかった。じゃあ、デリバリの担当者から連絡させる」と言われ、すぐ連絡がきたらホセというものすごいスペイン語なまりの人で、全然何を言っているのか聞き取れない。「ブルックリンまで行くのには25時間かかる」とか言うから、「25時間??」って聞いたら「25ドル」って言っていたらしい…。「ちょっと待ってよ、勝手に不良品売りつけといてどうしてこっちが25ドル払わないといけないの?! タダにしてよ!」ってホセに言ったら「お金のことは僕の担当ではないからMikeに言ってくれ」と。で、Mikeにも同じ文句を言った。でも向こうも「補償はするけどデリバリは有料だ」って言うからこっちも「どうしてお金を出してテレビを買ってそれが不良品だったのに、私がその交換のためのデリバリ料を払わないといけないわけ!!!!」って言ったら「じゃあ、検討して1時間後にかける」と言ったままかかってこなかった…もうほんとに嫌だ〜〜(泣)。

 
 
4月15日(木)

今日もインターン先の仕事のあと電気屋へ電話。もうほとほと疲れたけど、新しいテレビを手に入れるまでは負けるわけにはいかない。まずJohnという初登場の男が電話に出て「Mikeはいま忙しい。要件は何か?」と言うから、また最初から説明。そしたら「30分後にMikeからかけるから待っていろ」と言われる。昨日みたいにどうせかかってこないだろうと思い、30分後ジャストにこっちから電話。Mikeと話す。

彼は検討すると言ったわりにはなにも解決法を考えていたわけではなく、昨日と同じ議論に…もういいかげん疲れてきて「25ドル払うから早く交換してくれ」といったら「30ドルだ」といい出す。「昨日ホセが25ドルだといった」と言い張ったけど「30ドルだ」といって向こうも折れない。もうだんだんどうでもよくなってきて、とにかく早く新しいのを配達してくれと言ったら、Johnが出てきて、「配達は来週以降になる」と言い出すから「ちょっと!! 先週の日曜にお金を出してテレビを買ったのに、それが不良品だったから私はまだ一度もテレビを見てないのに、さらに一週間待てっていうわけ!! 遅くても明日にして!」ってかなり怒った。でも「事情はわかるけどデリバリは来週じゃないと無理だから」と言い放つから「じゃあどうしてもそういうなら絶対月曜には届てくれ」って言ったら「わかった。日曜日に確認の電話をくれ」って言うから(なんでこっちが確認の電話しないといけないのよ…)と思いつつ「絶対約束守ってよ」と言って電話を切った。

あ〜あ、せっかくこの週末DVD観ようと思っていたのに…来週の月曜日まで観れないのか…しかも30ドルまで払わないといけないなんて。。まあ安いテレビを買うとこういうことになるのねぇ…もうNYってとこには神も仏もないのか、ったく。。なんて思いながらぼーっとSOHOの街を歩いていた私、本当に疲れた…。と、そのときTV屋のMikeから電話が。「いまは家にいるのか? デリバリしてほしいのか? 早いほうがいいのか? 今日とか明日とか?」って言ってきたから「今日がベストだ」って言ったら「わかった。これからホセに行ってもらうから住所を教えて」だって。Johnから話を聞いたMikeが、あまりにも私が惨めだったので考え直してくれたのだろうか…。Mikeがいい奴に思えてしまったのが悔しい。

ということで急転直下、テレビが届いた。届けてくれたホセは、ほんとに何を言っているのかわからなかったけど、何度か電話で話をしているうちに彼の憎めないキャラクターが想像できて、なぜか親しみが湧いてきた。今度は届けてもらった直後にテレビがちゃんと動くか確認した。あ〜やっとこれで毎日テレビが見れる〜♪ こうして5日間に渡ったTV戦争は終わったのでした。早速、日本から持ってきた坂本教授のアフリカのDVDを観る。ふ〜、ケニアの大自然を見たら、ここのところ目を三角にしていた自分から解き放たれた気がした。ナイロビの博物館のミーヴ・リーキー女史が「現代人は、自然がストレスを解消し、リラックスさせてくれることを忘れてしまっているのです」なんて言っていたけどほんとうなずいてしまった。教授のサウンドトラックとケニアの大自然ですっかりテレビの戦いのことを忘れることができた。

 
 
4月23日(金)

韓国人のインターン仲間が母国に帰るためにバイト先を辞めるとのことで、その代わりに私を店長に紹介してくれて、今日からアルバイトをすることになりました。韓国人がオーナーで、寿司と刺身がメインのイーストヴィレッジにあるレストラン。バイト仲間は日本人、マレーシア人、チベット人、ミャンマー人、韓国人。とりあえずみんなアジアの顔をしているので誰がどこの国だかちょっと混乱。

私の大好きな「とびっこ」をこっちでは「Tabiko」と言うらしく、かわいくて笑ってしまった。アメリカ人は本当に寿司が好きなのだねぇ。ほとんどが白人のリピータ客。板前さんはスパニッシュ系で最初は大丈夫なのかなあと思ったけど、それがものすごい上手に寿司をつくる。テキパキと早いし、とても仕上がりが美しい。味もまあそんなにずれてないし。これじゃあこの店も人気なわけだ。席はたくさんありそうに見えて21席しかないのにウェイターが8人もいるのは、日本ではありえないけど、いろんなアジアの国の人たちと共に働くと、こういう人数が必要になるのかもね。

私が一番ドキドキしたのはやっぱり白人のお客さんに話しかけられてしまったとき。早口だから会話の前半は全く意味がわからないけど、だいたい最後の単語を聞けば意味が分かる、ということがわかった。女の子は私とチベット人のゾルジン(仮名)だけ。彼女はチベット人だけどネパールで生まれたんだって。もうその辺の地理がかなり怪しい私。チベットの基礎知識というものが極端に不足しているので、何を話したらいいかわからず「チベットの主食は何?」とか聞いてしまった。うどん、らしい。いまはだいぶ米も食べるけど、昔はずっとうどんだったんだって。彼女は資生堂の化粧品を愛用していて、お肌に合うと言っていた。チベットのコスメは質が悪いので、マニキュアも昔から日本の物を買って使っているとか。チベットといえば、ダライラマとペマ・ギャルポさんくらいしか私は知らないのだけど、彼女は日本語も勉強したことがあるらしく日本のことよく知っているんだろうな。

ミャンマーのことにいたってはさらに何も知らない私。アウンサンスーチー女史とビルマの竪琴しか知らないもんなあ。中井貴一の話しても絶対通じないだろうし、いきなり軍事政権はどうなっているのか?なんて聞くのもどうかと思ったのでやっぱり「ミャンマーの主食はなに?」って聞いてしまった。「米とカレー」だって。あ〜会話が終わってしまった。彼はマレーシアに留学していて、その姉妹校がアーカンソー州にあるのでそこのカレッジに通っているけど、アルバイトがアーカンソーではみつからないので、バケーションをとってお金が貯まるまでNYで働くらしい。マレーシア人の男の子は日本の東北沢で日本語学校に1年通っていたとかで、ちょっと日本語が分かる。マレーシア人のこともこれまた私は何も知らない。

こうなってくると韓国人と話す時とても身近に感じる。いま日本では「冬のソナタ」とかいう韓国ドラマが流行っているらしいね、と言ったら、あれは中山美穂の「LoveLetter」にインスパイアされてできたドラマだね、と言っていた。韓国人で「LoveLetter」を見ていない人はいないくらい、この映画は人気だそうだ。そういえばクラスメートの韓国人も日本の芸能人で誰が好き?って言ったら「中山美穂」しか知らないって言ってたっけ。

 

(5月へ続く)