●2004.6月● 戦争と平和
 
6月1日(火)

今日はいよいよ引越し。ブルックリンからマンハッタンに再び住むことに。朝からあいにくの雨…。ルームメイトのRちゃんも日本に帰国することになったので、この日が引越し。3人のうち2人が同じ日に引越しとなりました。タクシーの運ちゃんも荷物の運び出しを手伝ってくれて、ブルックリンを出発。ブルックリンブリッジを通るか? それともトンネルを通るか?って聞かれたから、なんとなくブルックリンブリッジと答えた。4ヶ月前にマンハッタンの寮から引越ししたときもこの橋を通ったから、なんとなく感慨深い。まさか4ヶ月でまた戻ってくるとも思ってなかったな。でもやっぱり今の生活基盤がマンハッタンにあるから、今回思い切って引越しすることにした。

運転手のおっちゃんはバングラデシュ人でAzizという名前らしい。タクシーの運転手の前は石油関係の仕事をNYでしていてとても収入がよかったけど、数年前に突然倒産してから運転手になったらしい。バングラデシュと日本はとても関係が深くて、日本企業はバングラデシュでものすごいお金を稼いでいるんだと説明してくれた。AzizといえばAziz外相だよね、って話をしたらサウジの王子もAzizって名前で「Love」って意味らしい。そういえば、日本のプリンセスも愛子さまだし、Loveは世界的な皇室の名前なのかな。

そんな話をしながら24丁目の新居に到着。Sちゃんがお手伝いにきてくれた。新しいルームメイトのRoseと私の部屋の前の住人Sさんが出迎えてくれて彼女たちに手伝ってもらって部屋に荷物を運び込む。私の部屋は5F。いままで半地下に住んでいたので地上にでてきた!って感じですごい嬉しい。また新しい生活が始まるぞ〜。

 
 
6月7日(月)

夜、42丁目のPublicLibraryの前を通ったら、何かイベントが開催されていたらしく、なんかセレブの匂いを感じたので立ち止まってみたら、なんとビヨンセを発見! すぐそこにいた。きゃーー本物!!! フラッシュをたくさん浴びてすごいオーラだった。顔はまだ若い健康的な黒人女性って感じ。あ〜カメラを持ち歩いてなくて後悔…。会場にはJay-Z、ナタリー・ポートマンやサラ・ジェシカ・パーカーなどなども来ていたみたいだけど、残念ながら見れなかった…。CFDAファッションアワードが開催されていたらしく、パフ・ダディがデザイナーとして賞をとったらしい。

いま一番NYの新聞、雑誌で露出が高いのがビヨンセとパリス・ヒルトンとジェニファー・ロペスかな。その中の一人を見れたなんて嬉しい。友達のSちゃんはこの前イーストヴィレッジでナタリー・ポートマンを見たって言ってた。普通にCafeにいたらしい。ジェニファー・ロペスは最近極秘結婚したとかですごい話題。私のバイト先によく来る男性のお客さんはJ-LOの旦那の元彼女と友達らしく、J-LOのことをあまりよく思っていないんだそうだ。旦那はマーク・アンソニーというラテン歌手らしいが、私は全然知らなかったよ、この人。元ミスアメリカの前妻と離婚して、5日後にJ-LOと結婚したらしい。。。

 
 
6月9日(水)

ブルームバーグ市長が新しい法律をつくったらしい。Noise-Ban LAW。街の静けさを保つための法律らしく、犬が昼間に10分、夜間に5分以上吠え続けていたら、飼い主に対して罰金が科せられる。あと音楽を鳴らしながら道路で売っているアイスクリームトラックも、再来年あたりから音楽を鳴らせなくなるらしい。5月頃から急に街中を走り出したアイスクリーム屋さんは、かわいらしい音楽を鳴らしながらトロトロと走っている。結構みんな買っていて並んだりしている。ソフトクリームにチョコスプレーがたくさんついていたり、日本ではあまり見なさそうなごってりしたアイスがたくさんなのだけどね。だからこのアイス屋さんは、商売道具の音を鳴らせなくなってしまうということだよね。随分すごい法律だなとびっくりしたけど、マンハッタンにはさまざまな騒音があって住民は迷惑しているらしいので、大方の人々は賛成しているみたい。NYはレストランやBarの室内でタバコが吸えないので、店の外でたむろしてタバコを吸っている人たちが大声で騒いでいるのをよく見かけるけど、確かにあれは近所迷惑だわ。

 
 
6月10日(木)

もとルームメイトTちゃんはアーティスト。彼女が初めてグループ展をする。そのオープニングPartyに行った。50人展なので50人のアーティストが作品を出展している。テーマが「マーサ(マーサ・スチュワート)と私」ということで、マーサをモチーフにした絵が多かった。途中会場内ではマーサの物まねを披露する一幕も。Tちゃんは版画を2作品を出品していたんだけど、両方ともものすごい完成度が高くて感動。一緒に行ったKさんと「Tちゃんかなりいけてるよね」と話していたら、彼女のラボのオーナーのJさんがきて、「チェックブックは持ってこなかったの?」と冗談を言ってきた。こういう展覧会に来るときはチェックブックを持ってきて気に入った絵を買うんだよ、だって。なるほどねぇ。でもきっとこのTちゃんの絵は売れるに違いないよね、といいながらKさんと夕食。しばらくしたら相当絵を気に入ったKさんが絵を買おうかな、と言い出した。もう嬉しくなってさっそくTちゃんに電話。もちろん、彼女も大喜び。初めての展覧会で初めて売れたのだからね!! 私が連れていった友達が買ってくれたっていうのがとても嬉しくて、幸せな気分になった。彼女の絵がKさんのアッパーイーストサイドの部屋に飾られるなんて〜。興奮。

 
 
6月11日(金)

レーガン元大統領が亡くなった。今週のNewsはずっとこれ。レーガン元大統領の遺体はカリフォルニアからワシントンに運ばれ、今日がお葬式。そしてまたカリフォルニアに運ばれ埋葬される。アメリカは公共の施設が今日はお休みらしい。ナンシー未亡人はもう相当老齢だけど、毅然としていてさすがというかんじ。10年もアルツハイマーだったんだね、レーガンさんは。彼はアメリカ大統領史上最高年齢で大統領になったというのも知らなかった。当時私はまだ幼稚園か小学低学年だったからねぇ。そんなにおじいさんに見えなかったような。それにしても、レーガンさんより前に大統領だったカーターさんはまだ元気なようで、すごいな。

アメリカは火葬してもしなくてもいいらしいということを今回初めて知った。自分で決められるようだ。ルームメイトが説明してくれた。彼女は自分が死んだときは火葬したくないそうだ。ナチスがユダヤ人を大量に焼き殺したことが火葬のイメージと重なって残酷な印象を持つらしく、ユダヤの血をひく彼女にとっては耐えられないのだろう。日本は土地もせまいし、火葬が普通なんだと話したら、彼女の父はアルゼンチン人で、この国も火葬が普通でしかも骨をFamilyで縦に重ねて埋葬するそうだ。なので誰が誰の上になるかで兄弟喧嘩しているらしい。3人兄弟とも母親のすぐ上に埋葬されたいんだそうだ。

Newsでレイ・チャールズがレーガンの歌を歌っているシーンがちょこちょこ流れていたので、今回大統領が亡くなったから歌っているのかとばかり思っていたら、彼も亡くなってしまったのだった。こちらのほうが衝撃。彼は目が見えないのにアーティストとして成功しているから、きっとお金持ちのおぼっちゃまなのだろうと私はずっと勝手に思っていたのだけど、生い立ちを読んだらなんと孤児だった。目も後天的に見えなくなったみたい。びっくりした。本当にすごい人だ。6月の終りに、タイムズスクエア近くのB・B・KINGのライブハウスでのLIVEが予定されていて、私も行きたいなと思っていたところだったので、とても残念。

 
 
6月17日(木)

今日は住んでいるレジデンスの町内会のお祭り。あいにくの雨だったので室内で開催された。ルームメイトが誘ってくれて一緒に参加する。チャイニーズのケイタリングサービスが来ていて、無料でビュッフェで食事ができ、カリビアンバンドが演奏をしている中で、おばあちゃんやおじいちゃんが楽しそうに踊っていた。私とルームメイトもカリプソのリズムにあわせて踊った。アメリカ人は何歳になっても楽しそうだ。日本とは違う。日本人のこの世代の人びとがリズムに合わせて踊ったりしているのを見たことがない。そもそも踊りというのが日本ではあまり見られないけどね。やっぱり戦争に勝った国は進んでいるなと感じた。アメリカ人は戦後の荒廃した時代とかを経験していないのだからね。日本でこの場にいるような世代の人々は、みんな戦争を経験していて若い頃は苦労をしているわけだからね。やっぱり違いが出るのは当たり前なのかもしれない。ふと私たちの30年後はこんな感じなのじゃないかなとも思った。人々の精神的な差は30年くらい、日米では差があるんじゃないかと。30歳私と年齢が違うルームメイトと生活をするようになって特にそう感じるようになった。

 
 
6月24日(木)

私のインターン先の隣の会社はテレビなどの出演者のオーディションをする会社らしく、毎回いろんな人々がオーディションを受けにやってくる。今日は朝から女性の「キャーー」という叫び声が何度も聞こえてきて、何かと思ったらホラーものの出演者を募っている日らしい…。この会社は毎回いろんなジャンルのオーディションを行っているので、そこに来る人々もさまざまで楽しい。たまに目の覚める様なかっこいい人や美人さんが列をなしているときもあれば、「ギャングスターの募集の日」があって、結構幅広いの年齢層の男性が皆思い思いのワルぶった格好でやってきてかなり笑えた。エレベータのところで会った人なんて、なりきっていて葉巻をくわえながら、悪びれた歩き方でエレベータから降りてきたり、グリーステカテカ塗ってきたり、異様な雰囲気につつまれていた。その会社の人がたまに私たちのいるオフィスにおしゃべりをしにくる。こっちのキー局に出演して一回でも注目されれば、それだけでもう一生お金が稼げるんだよ。だからオーディションに来る人もみんな真剣なんだ。と彼は言っていた。

 
 
6月27日(日)

先日亡くなったレーガン元大統領の息子のロン・レーガンが、CNNの対談番組に登場していた。彼がブッシュ大統領についてコメントを求められたとき「ブッシュを支持しない。イラク戦争は間違っている。ビン・ラディンもフセインもバーチャルな敵にすぎない」とはっきり言っていたのには驚いた。彼の仕事はタカ派のコメンテーターと聞いていたので、この国ではタカ派がどんなスタンスなのかなと興味を持った。民主党のクリントンがブッシュに理解を示しているのと対照的でおもしろい。

ロンの対談のあと、14歳で筋ディストロフィで今週亡くなったというMattieという男の子が、以前この番組に出たときのものが放送された。詩人でありPeaceMakerでもあるという肩書きだった。彼の英語は私にもとても聞き易いし、声がとてもかわいい。なのに発言内容はやたらと大人で、詩を書く上で一番考えることは「平和」と言っていた。そして9.11テロのあとに書いた詩を朗読していた。Moment、Silentなどの言葉がたくさん出てきていた。詩の全ての内容を理解できたわけではないのだけど、とても感動してしまった。こんなすごい子がイラク戦争の途中で、若くして死んでしまうなんてとても残念。

そういえばこの前、CNNニュースをつけていたら突然映画「インディペンデンス・デー」や「アルマゲドン」に流れてきそうな勇敢で物悲しい音楽が流れてきたので、何かと思ったら、ここ数日でイラク戦争で亡くなった兵士を一人ずつ紹介していた。どの兵士も30歳前後。何ともいえない感覚に襲われた。今は戦争中なんだ。ちっとも平和じゃないんだとあらためて感じさせられた。

そういえば、マイケル・ムーアの映画「FAHRENHEIT 911」が25日から全米公開されるのにともなって、今テレビでは彼の特集番組をよく見かける。すっかり時の人である。全米公開にさきがけて、23日から近所のイーストヴィレッジで限定公開されていると聞いたので、映画館の前を通ってみたら、1日トータル18回以上開演しているのにほとんど完売で、かろうじて夜中の12時前後の回のみ買えます、と貼り紙がしてあった。すごい人気みたい。

 

(7月に続く)