●2004.10月● ハーレムでゴスペル体験
 
10月13日(水)

今月に入って次期大統領候補2人のディベートが始まった。最近街角で「VOTE OR DIE!」というT-シャツを着たセレブたちのポスターをよく見かける。投票行動を促すためのキャンペーンのようだ。学校の先生によると投票率は平均50%くらいのようだ。日本に負けず劣らず低いのには驚いた。もっと全体的にアメリカ人は投票に行くものだと思っていたから。それでも今回の大統領選は若年層のレジスター率が高いという統計を見たので、投票率も高くなるのだろうか。

ディベートがあった次の日はみなその話題で持ちきりだ。2度目のディベートの際、ブッシュ大統領をうしろから撮影した写真がインターネットで出回って笑いのタネになっている。スーツの中になにか不自然な物体を身につけているように見える写真で、職場のアメリカ人が「Feedだ、Feedだ」と言っていた。Feedとは大統領がディベート中に何を言うべきかを誰かが背後で指示していてブッシュはそのとおりに言っている。ということらしい。それを受信するための装備が、大統領の背中についているのではないかということのようだ。ブッシュは利口ではないということがすっかり定説のようになっていて、今回のディベートでは彼がアメリカの州の名前をいくつもスラスラと言えるようになっていてなかなか上達したものだ、とマスコミに言われたり、すっかりボロクソに言われるようになってしまったブッシュさんだが、依然として世論調査ではリードしているからおもしろい。

今日が第3回目のディベートで、バイト先のレストランはお客さんが来ない。デリバリーやテイクアウトの客ばかり。みんな家でディベートを見るのだろうか。厨房でも調理人のメキシコ人たちがテレビをつけていて、バイト仲間のチベット人のゾルジンは1時間半の間仕事もせずずーっとTVの前に釘付けになっていた。今日のディベートのテーマは社会福祉や同性の結婚についての是否とかを討論していた。いま巷ではチェイニー副大統領の娘がレズビアンというのがかなり話題になっていて私も新聞で写真を見たが、オーランド・ブルーム似のかなりイケメン風の女性だった。ブッシュが同性の結婚に反対しているのに副大統領の娘が同性愛者ということで、共和党は苦境(?)に立たされているみたいだ。私はじっくりディベートを聞いていないのだがひとつ気になったのは、ケリー候補もエドワード副大統領候補も、ディベートでイランのことを槍玉にあげるような発言をしていたことだ。イラク戦争の次はイラン戦争を画策していると言われるここ最近、もしかして民主党の候補たちはイラン戦争をしたい人達なのか?と思ってしまった。徴兵制の施行の噂も流れているし、アメリカはこれからどうなっていくのでしょーか。

 
 
10月17日(日)

毎週日曜日はハーレムの教会でゴスペルが聞けると聞いて出かけてみた。ハーレムまで足を運ぶのは今回が初めて。ずっと来てみたかったけどなかなかチャンスがなかった。が、教会についたのが遅く、ものすごい行列ができていた。とりあえずしばらくの間並んで待っていたが数十分後、教会内に入れないことが判明。案内係りのおじさんに、この裏の教会でも同じサービスをやっているからそっちに行ってみれば、と言われて大量の人々がそっちの教会に押し寄せた。広い講堂で様々な連絡事項や歌が歌われていたがそれほど感動することもなく終わった

その後ルームメイトがおすすめのSilvia’sというレストランでブランチ。ハーレム1有名なソウルフードレストランで店内に入ると多くの人が待っていた。しばらくして席に案内されサンデーブランチの中から注文した。最初にビスケットが出てきて、これがほかほかでとても美味しい。妹が注文したチキンブレスト、ワッフルも私が頼んだサーモンカツレツもどれもとてもおいしくて大満足。黒人女性歌手がテーブルをまわりながら熱唱していてムード満点。近所に住む黒人の人々や私たちのような観光客で店内は大賑わい。黒人さんが醸し出す独特の雰囲気がとても良くて、すっかりこの店が気に入ってしまった。また来たい。

その後、ガイドブックに載っていたスクマというセレクトショップへ。中に入ると日本人と思しき若い女性がレジに1人。ここの目玉 商品のT-シャツは本当にかわいい。どうやらこの日本人女性のデザインのようだ。他のお客さんとの会話の様子だと彼女はNYのパーソンズに通 う学生さんのようだ。店内のほかの商品はフランス製のバッグや洋服、アクセサリーなどどれもセンスがよくおしゃれ。ここもまた来たい。ハーレムがこんなに気に入るとは思ってなかった。もっと早くから来ていればよかった。日本に帰る前にまた来ようっと。

 
 
10月21日(木)

ナイアガラの滝一泊ツアーへ妹と参加した。ポピュラーなツアーとしては往復飛行機で行く日帰りツアーが有名だけど、今回私たちが参加したのは往復バスで行くアメリカ人ガイドのツアー。それが一番安かったのだ。マンハッタンのミッドタウンで集合して、そこから観光バスでいざナイアガラへ。片道約700キロ、9時間の道のり。ニュージャージー州からペンシルヴァニア州を通 過し、再びNY州を通ってバッファローへ。観光バスは想像していたよりずっと快適な大型バスで、イスもゆったりしていて足が伸ばせるくらい。トイレも小型テレビも完備されたなかなかの乗り心地。ガイドさんはイタリア系のアメリカ人女性で、英語とスペイン語の2ヶ国語でガイドをしてくれた。ニュージャージーを抜けてペンシルヴァニアに入る頃には見事な紅葉が見られた。

天気はあいにくの小雨まじり。途中フィンガーレークのふもとでランチタイムだった。フィンガーレークはNY州の北部に位 置する地域で、ちょうど手の指のような配置で細長い湖が点在している。全米でも有数のワイナリー地帯とのこと。そういえば私がこっちに来て初めて飲んで、すっかり気に入ったリースリングワインもこの地域のものだった。ランチタイムにはMr.Chickenというファーストフード店に入り、バッファローチキンサンドを注文した。友達からアップステイツにいったら名産?!のバッファローチキンを食べるように薦められていたので前から試してみたかった。が…ここのバッファローチキンは私の口には馴染まず、私にしては珍しく全部食べられなかった。今度は是非他の場所で再度バッファローチキンにトライしてみたいものだ。

朝方マンハッタンを出発してから8時間後、ナイアガラ地域に到着。ゴートアイランドを歩いた。島の尖端に歩み出ると、そこには写 真で何度となく見ていたナイアガラの滝が、勢いよく轟音を立て水しぶきをあげていた。ウソみたいに近場に滝があってにわかに信じがたい。本当にアンビリーバブルな光景だった。自分の中のナイアガラの滝のイメージは山奥にある感じだったのでこんなに都会的な空間に突如滝が存在しているとは思わなかった。

そしていよいよカナダ側へ。ナイアガラ川にかかるレインボーブリッジを渡るとそこはカナダ。バスを降りて入国審査をしてあっという間に通 過した。生まれて初めて陸づたいに国境を越えたのでちょっと興奮。でもとても簡単なものだったな。川沿いのホテルにてチェックインのあと自由行動。川沿いの街並みを散歩。ルームメイトが数年前にきたときはあまり雰囲気がよくなくて街中に酔っ払いやホームレスがたむろしてらしいが、そんなことが想像つかないほど整然と手入れのされた公園が広がっていた。夜のナイアガラはカラフルな照明があたって綺麗。滝壷から巻き上がる、水しぶきなのか霧雨なのか区別 がつかない細かい水分が、ここ一帯に降っている。いたるところにある展望レストランは高額だったので、手短なところでHardRockCafeで夕食。さっきランチで食べたバッファローチキンサンドが凄まじい味だったので、それに比べて数段美味しく感じた。カナダはFoodとアルコールにかかる税率が違うみたいだ。別 々に表記されていた。

その後、隣にあるカジノへ行ってみた。入り口でIDを見せて入念にチェックが行われていてちょっと緊張した。けどその割には中に入ってみるとほとんどがスロットマシーンで、たまにルーレットやブラックジャックなどのグループものがあるくらいで、日本のゲーセンが巨大になっただけ、という感じだった。少しスロットを試したが、あっという間に終わってしまい退散。そういえばここはカナダなので、レストランでもここカジノでもタバコを吸っている人がいた。NYは前面 的に公共の室内は禁煙なので、久しぶりに煙草の匂いを感じて、ここはカナダなんだと再認識。NYではここ1〜2週間で一気に気温が下がってきていたのでアップステーツはさらに寒いだろうとかなり覚悟して来たが想像していたほど寒くなくてよかった。

 
 
10月22日(金)

そしていよいよ今日は「霧の乙女号」という船に乗って滝壷の真下まで行く。「霧の乙女号」はカナダ側からとアメリカ側の川の両岸から出発しているが、私たちはアメリカサイドから乗船した。なぜかこちらサイドはとても空いていたが、カナダサイドからの船は満員状態だった。頭からすっぽりかぶるポンチョを渡され、いざ出発。まずアメリカ滝の真下へ近づいた。近づくにつれ、ものすごい水しぶきと強風で目を開けてられない。まるで大型の台風の中心にいるようだ。まともに滝を見上げることすら容易でない。突然の強風にポンチョを着ている途中だった中国人の男性は、ポンチョから首を出すことができずビニールの中で必死にもがいていた。きっと彼は一番いいスポットで滝を見れていない。しかも気がついたらビニールにすっぽりくるまって座っていた。その一部始終が可笑しくて妹とずっと爆笑。とにかくそれくらい強風と豪雨なのだ。そのうち雨風はおさまってしばし穏やかに滝を眺める。

数分後、今度はカナダ滝に近づくにつれ、またしても台風状態。靴もびしょびしょ、化粧はとれてマスカラがべっとり目の下に黒くついてものすごいことに。友達が「霧の乙女号」なんていう優雅な名前が似合わずものすごいよ、と言っていた意味がわかった。遊園地のアドヴェンチャーアトラクションを終えたあとのような気分。この船は今週で運航を終了し、来年の春にまた再開するそうだ。確かにここまでびしょぬれになるので真冬は寒い。しかもこれから少しずつ冬に近づくにつれて滝は凍りだすのだ。写真で真冬のナイアガラの滝を見たが、川もすっかり凍って人々が歩いて川を渡っていた。その昔この川の国境を歩いて渡る人がたくさんいたそうだ。自然のチカラで季節によっていろんな顔をもつナイアガラの滝。とってもよかった。その後再びバスに乗り一路マンハッタンへ。今回初めてNYシティ以外のアメリカの風景を目にした。行けども行けども緑と山と平原が続いていた。どの場所も紅葉が綺麗でいい時期にあたってよかった。そして夜、ニュージャージー側から川越しに見たマンハッタンの夜景もとてもよかった。

 
 
10月24日(日)

先週のリベンジということで、再度ハーレムの教会へゴスペルを聞きに行く。今日は早起きして9時からのサービスに間に合うようにがんばった。地下鉄の135丁目で降りて教会まで歩く道のりはとても静かで雰囲気がよく、私がイメージしていたハーレムとは全然違う。ブルックリンの高級住宅街みたいな感じだ。139丁目はハーレム一の高級アパートメントエリアだとかで、せっかくなのでそこまで足をのばしてみた。なるほど歯医者さんの看板なども出ていて閑静な住宅街という感じ。

教会に着くとひと気がないのでもしかして今日はお休み?!かと思ったがちゃんとやっていて一安心。先週11時過ぎに来たときはものすごい行列が教会の前にできていたけど9時からの回はなんともがらんとしていた。でも会場に入るとすでに多くの席が埋まっていた。素晴らしいステンドグラスの装飾が施された内部は、とても神聖な雰囲気。パイプオルガンの演奏のあとサービスが始まるとまず恒例の歌を歌うらしく、会場のみんなが歌っている間に2F前方にゴスペルシンガーたちが入場してくる。約20人くらいいた。全員そろったところで聖書の中からいくつかの歌を歌う。その歌声に圧倒された。すべての席に聖書が備え付けてあるので、私たちも前後の人たちにならって聖書を開いて歌詞をなぞってみる。初めての体験だ。その後いわゆる神父の説法のようなものが続き時折、ゴスペルを聞き、というサイクルが3回くらい続いた。神父さんは最初はおだやかに話始めるのだが、次第に言葉にチカラが入ってくるらしく最後の方はほとんど叫んでいた。会場の人々も立ち上がったり拍手をする人が出てきてものすごい雰囲気。これぞゴスペル、という感じの歌が続く。ふと聖歌隊の人々の中にアジア人らしきおじさんを発見。ほかの人はほとんどが黒人の男女なので目立つ。よく観察してみたら歌も歌ってないときがある。もしかして聖歌隊一日体験ツアーみたいのに今日だけ参加した人かしら…とか思ってしまった。

約1時間半のサーヴィスを終え、教会の外に出てみると次の回を待つ人々の行列ができていた。その後バスにのって一路、MPD(ミート・パッキング・ディストリクト)へ。MEETというレストランでブランチ。キャメロン・ディアスやサラ・ジェシカ・パーカーも訪れる店と本には書いてあったけど、セレブどころか客が1人もいなかった。それにひきかえ、隣の狭くて古そうなレストランには客が多く賑わっていた。とりあえずMEETに入ることに。食事は手ごろな値段でとてもおいしい。ウエイターが私たちを日本人と知ると、「オジヤの地震は大丈夫か?」と聞いてきた。こちらではニュースで日本地図がでてOJIYAと地名が表記されて放送されているので一躍有名な地名になってしまった。昨日今日で何人もの人にオジヤ付近の地震のことを尋ねられた。

 

(11月へ続く)