●2004.12月● NY最後の数日間
というわけで、私、夏子は日本に無事戻ってまいりました。帰国早々、花粉症になってしまいました。今年は花粉も随分早いのですねぇ〜。いや〜やっぱり落ち着きます。我が祖国は。今月の夏子の日記は、先月分には書ききれなかったNYでの最後の濃密な数日間の日記をお送りしたいと思います。
 
11月23日(火)

今週で寿司レストランでのバイトも辞めることにしたので、最後にオーナーのホンコンに挨拶にいった。しばし閑談。なんとホンコンはマンハッタンからペンシルヴァニア州へ来年早々に引っ越すとのこと。理由がすごい。ブッシュ大統領が再選されたことがどうしても嫌で、マンハッタンにいるとその影響をメディアやその他で受けてしまうので、それを避けるために引っ越すのだそうだ。もともと20年前に韓国からNYに来たときも、韓国の政権が嫌で新天地を求めてNYに来たのだそうだ。今度はNYがそうなってしまうとは…と、とても寂しそうだった。でもブッシュ大統領の任期が終わる4年後にまた戻ってくるそうだ。引越し先のペンシルヴァニア州だってアメリカには変わりないのになあ、などと思いつつも、施政者が気に入らないからといって住む所をその都度変えることができる財力とフットワークの軽さには脱帽である。ここ数週間の間にNYに所有していた4つのレストランのうち3つを売却した。そして新天地ペンシルヴァニアで大型アメリカンレストランをオープンするとのこと。広大な敷地を持つ新居も購入済みらしい。あと2年経って娘さんが高校生になったらペンシルヴァニアの高校に通わせるらしく、その高校はあの不動産王トランプさんの子供も通っている学校だとか。

 
 
11月24日(水)

明日はサンクスギビングデーということで週末4連休に入るので、学校側のはからいでランチタイムはサンクスギビングパーティでした。インターンの私たちはスタッフとして駆り出され、長蛇の列の生徒たちひとりひとりにターキーやサラダ、パン、マッシュポテトを取り分ける役目。私はターキー係に任命された。ターキーの丸焼きをナイフで切り分けるなんて生まれて初めて。最初はメイン料理だし張り切っていたのだけど、生徒さんは切れ目なくやってくるので何羽も次から次へ切り分けなければならず、思った以上に骨の折れる作業だったため、冬なのに汗が出てきた。でも生徒たちはとても嬉しそうにお皿を持って並んでいるので一生懸命がんばった。ふう。やっと目途が立っていよいよ自分たちがありつける番だ。ターキーの肉自体はとても淡白な味なのでクランベリーソースをかけて食べる。そのコンビネーションがたまらない。ターキーのお腹のなかに詰め込まれていたスタッフィングもとてもおいしかった。生まれて初めてのサンクスギビングデーのお祝いは、ターキーとの格闘で終わりました。

話は変って数日前からNYを引き上げるのに伴い、身の回りの電化製品や日用品をムービングセールに出している。インターネット上でセールに出したのだが、これが思った以上に売れない。前に友達が出したときはあっという間に買い手がついたと聞いたんだけどな。時期が悪いのだろうか。一番最初に買い手がついたのは「ビオレU」2本。ついでに出したやつが一番ノリとは、、、、。とりあえず今日はTVを買ってくれる人が家に来た。数ヶ月前に苦労して手に入れたあのTVが私の手を離れるときが来たのだ。結局このTV、今の部屋では備え付けのがあったのでほとんど使っていなかったんだけどね。買い主は30代の男性で、こちらにきてまだ一週間くらいだそうだ。日本では大学で研究助手をしている方で、アルツハイマーの研究のためにこちらに来ているとのこと。NY大学から独立した研究機関にいるそうだ。アルツハイマーの研究をするためにはこちらの方が格段進んでいるのだそうだ。いろんな人がいろんな仕事でNYに来るんだなぁ。

 
 
11月25日(木)

今日はサンクスギビングデー。日本人の私にはいまいちピンとこないけど、こちらの人々にとってはとっても大事な日らしい。会社の同僚によるとクリスマスは宗教によっては特別な日ではないし、ハロウィンは素直にHolidayとして喜べない部分があるけど、サンクスギビングはみんなにとってhappyな祝日なんだそうだ。家族や親戚中で集まってターキーを食べるみたい。街中もだいぶ前からサンクスギビングデー・ムードだ。私は夕方から仲良しSちゃん宅にお邪魔する予定だったので、その前に買い物にでかけようと思ってSOHOへ向かった。だが、お目当ての食材屋さんへ行ったらすでに閉店していた。しまった! 休日だから店はいつもより早く閉まるみたいだ。そこの店のチーズがものすごいおいしいからどうしても最後に買いたかったのに。すごい残念。それにしても今日は冷えた。しかたなくSOHOを少し歩いたのだけど今日のSOHOはあらゆる意味で寒かった。店はほとんど閉まっていて真っ暗だし、とても寒いし、木枯らしがピープー吹いて落ち葉が舞っている。ものすごい悲しい気分になってきた。サンクスギビングの夜にSOHOを歩いてはいけない。

かろうじて開いていた韓国系のスーパーでラム酒用のアップルサイダーを買って、地下鉄でSちゃんの住むアッパーウェストサイドへ。数ヶ月前にここにお引越ししてきたSちゃん宅にお邪魔するのはこれが初めて。ウエストエンドストリートにあるすごい素敵なアパート。部屋の趣味はルームメイトのおじいちゃんのテイストらしいんだけど、とっても素敵でため息が出ました。これぞNYに住んでるーって実感できるお部屋。写真をバシバシ撮って私はここにずっと住んでいたことにしたいなと思うくらい。Sちゃんとは3月に語学のクラスが一緒になってからのつきあい。年齢はだいぶ彼女のが若いけど気が合うのです。こうしてゆっくり語るのもNYでは最後になってしまうのかも。。。アップルサイダーwithラムをすすりつつ、私たちのサンクスギビングの夜はこうして更けていきました。

 
 
11月30日(火)

NY滞在もあと残すところ3日。ぐわーん、信じられない。ルームメイトがランチをご馳走してくれるということで、アッパーウェストサイドのヴェトナム料理「サイゴングリル」へ。ここはとても有名なので一度来てみたいと思っていたままずっと来るチャンスがなく、最後の最後にやっと来ることができた。ルームメイトお薦めのスープ、ローストチキン、炒麺をいただく。ほんとに噂どおりに安くておいしい店だった。この界隈は安くておいしい店が目白押しで、ここのところ立て続けにルームメイトに教えてもらった。この前行ったスペインレストランも美味しかった。アッパーウエストサイドというと値段高めのレストランが軒を連ねているのだとばかり思っていたのだけど、90丁目界隈まで行くとそうでもないのだね。その後ルームメイトと別れて、語学学校へ最後の挨拶。インターンとはいえ、一時期一緒に働いた同僚。お別れするのがこんなに寂しいとは思ってもみなかった。上司のChad、何から何まで教えてくれたElisabethとLori。みんないい人。(涙)

その後チャイナタウンへ。用事は「オーラ占い」。前にSちゃんが行ってきて面白かったと言うので、是非連れて行ってー、とお願いしていたのだ。広いチャイナタウンのエリアの中でもひときわマニアックなエリア。もうここはNYとは思えない。高架下にある雑居ビルの雰囲気がまるで上野や御徒町。周りはアジア人しか見当たらないし。そして雑居ビルの一角にお目当てのオーラ占いの店があった。まず顔写真を撮られる。その写真に写るのがオーラカラーで、その色を見ながら占いをしてもらう。できあがった私のオーラ写真は、ほとんど頭上が濃紺で左端が少し赤いものだった。それをもとに占いスタート。濃紺の人は今運気が低迷しているとのこと。災いが起こらないように気をつけなさいなんて言われた。しかも私の干支トラ年は今年は良くない1年だとかで来年になればよくなってくるんだそうだ。でも今年はあと1ヶ月ちょっとってことだよね?って聞いたら「いや、中国の暦だから2月まで」とか言われてしまった。トホホ。実はここ、水晶を売っているお店で、占いの結果に応じてLucky水晶を身につけましょうという戦略なのだ。私はなにしろ濃紺カラーで運気低迷中の人物ということになってしまったので、黒のでっかい魔よけみたいな八掛を薦められてしまった。値段も高いしデザインもよくないのでもっと安くて小さいやつにして、と散々お願いしてやっと小さくてまあまあのデザインのものに落ち着いた。正直、占いをしてくれた女性が中学時代のイケテナイ生物の先生に似ていて、あまり幸せそうに見えなくて、腕には大きな八掛のたくさんついたブレスレットをしていたので、それと同じのはつけたくなかったのだ。オーラは3週間ごとに変ってくるのでまた見せに来なさいと言われたけど、日本に帰るんだと言ったら「今度はいつ戻ってくるの?」と聞かれてちょっとせつなくなってしまった。またいつかNYに来ることがあったらここを訪ねてみたいな。

チャイナタウンをあとにし、ウエストヴィレッジにあるフローズンマルガリータが激ウマの店に寄る。もう随分前にアメリカ人の友達に連れてきてもらって、とてもおいしくてびっくりしたのだ。帰国前にどうしてももう一度来ておきたくてやっと実現した。やっぱりおいしい〜。そして今日最後の待ち合わせ、Gさんと合流。Gさんは大阪出身のピアニストで、私がNYに来た日に空港まで迎えに来てくれた人だ。NYで初めて会った人だったうえに、強烈な個性の持ち主でとても面白い人だったので、すぐに打ち解けて楽しいNY第1日目を過ごした。地下鉄の乗り方やタイムズスクエアへの行き方を教えてもらったし、彼の所属するピアノ教室のリサイタルでカーネギーホールにも招待してもらった。今日はニュージャージーでのピアノレッスンのあとかけつけてくれた。最初に連れていってくれた店はゲイBarだった。何を隠そうGさんはゲイだったみたいだけど、JFK空港に私を迎えに来てくれた時は、バイトとして来ているから自分がゲイだということは言ってはだめだと言われていたので、がんばって男っぽくしていたらしい(笑)。そのBarは男性客ばかり。女性は私しかいなかったかも。外からは店の中の様子は見えないようになっているんだな、こういう店って。

またまたフローズンマルガリータを飲みながらこの1年のお互いの近況報告。久しぶりだったので話は尽きず、2次会は近所のGさん宅で。元ルームメイトという女性もいて3人でビール片手に閑談。この女性も関西出身で、今はNYの企業に勤めているらしい。さらに副業で地球の歩き方のNYのレストランのページを書いているそうだ。見てみたらある店の写真にGさんが写っていた。突如Gさんが「夏子ちゃんの顔にメイクしていい?」って聞いてきた。メイクが趣味らしい。やらせてあげたらやたら嬉しそうだった。手も指先も女の子顔負けの繊細さで、さすがメイク好きなだけある。最初は普通のメイクだったんだけどだんだんエスカレートしてきて、気がついたらドラッグクイーンメイクになってた。自分で見てもただただ怖い顔。でもGさんは上出来だと言って喜んでいた。そのあと学生時代に女装コンテストで優勝したときのビデオとか見ながら盛り上がる。女の子と話をしているのとはまた違った心地よさで本当に楽しいひとときでした。こんな帰る直前じゃなくて前から仲良くしておけばよかったね〜なんて言いながらお別れしました。

 
 
12月3日(金)

今日はいよいよ帰国の日。飛行機が夜の便なのでゆっくりと発てばいい。しかし結局最後の最後まで使用していた携帯電話を今日は解約に行かなければならないのです。コリアンタウンにある携帯電話のサービスセンターへ。窓口に行って「解約したいんですけど」と言うとなんと「解約はこちらの番号に電話してください」と言われてしまった。せっかく来たのになんと解約は電話のみの受け付けだった!! 信じられない。貴重な時間をさいてわざわざ来たのにびっくり。しょうがないのでその後、今度は近くのCITIBANKへ寄ってUSドルをイギリスポンドに両替しに行った。そしたら両替は明日以降にあなたの銀行口座に振り込まれます、だって。明日からイギリスに行くのにー。「どうしても今すぐ両替が必要なの」とつっぱねたら隣の窓口にいたおばさんが、Macy’sの中のAmerican Expressで両替していると教えてくれた。よかった〜。無事両替完了。今度は家に帰ってから携帯電話を解約するための電話。長いこと電話口で待たされて30分くらいかかってやっと解約。トホホ。

そうこうしているうちに空港へ行く時間に。ルームメイトとのお別れをしなければいけないときが迫ってきていた。本当に寂しい。長く挨拶しているとどんどん悲しくなってくるので短めにきりあげた。自分がNYを去るということの実感もまだ湧いていないのもある。6ヶ月という短い時間だったけど、彼女と過ごした時間は言葉には言い表せない大切なものだ。空港へはルームメイトのボーイフレンド、キューバ系アメリカ人のNarcyが車で送ってくれることになっていた。Narcyとはほんの数回しか会った事もないし、会話もほとんどしたことがなかった。でも自分のガールフレンドのルームメイトというだけで、わざわざ空港まで送ることを申し出てくれたのだ。本当にいい人。最後の最後まであたたかい人々に囲まれて、本当に私は幸せだなとつくづく感じた。ルームメイトと彼女を取り囲む人々は、みんなそれぞれにドラマティックな人生を抱えていて、その話を聞くたびに私はただただ驚くばかりだった。Narcyもそんな1人だ。もう60歳を超えたおじいさんだけど、とてもスタイルがよくてかっこいい。面長でとてもいい顔をしているのだ。1年を通していつも半ズボンにスニーカーをはいている。NYではちょっと有名なSalsaダンサーで、ひところはマンハッタンでSalsa Barをいくつか経営していたらしい。今でも毎週いきつけのSalsa Barにヌシのように通っている。ルームメイト曰く、助けを求めている人のところなら誰のところでも飛んで行くという人なので、今回私を空港まで送っていくことも快く申し出てくれたのだ。Narcy、ありがとう!!

実はJFK空港ではもうひとつイヴェントが待ち構えていた。私のあとに部屋に住むことになったM子ちゃんはメイクアップアーティストの学校に通う女性なのだけど、彼女が今日、JFK空港でのファッションショーのメイクを担当することになっているらしい。時間が合えばそのShowを私も見れるかもしれないと思って期待して行ってみたら、なんとナイスタイミング、Showはこれからだった。荷物のチェックインを終えてから楽屋のM子ちゃんを訪ねた。独特の雰囲気がムンムンでエキサイティングな匂い。私こういうの大好き。M子ちゃんはすでに数人のモデルさんのメイクを終えたあとで、自分がメイクしたモデルさんの写真を撮ったりしていた。モデルクラブの責任者のゲイのお兄さんを紹介してくれて、しばし歓談。カウボーイハットに奇抜な蛍光黄緑の上着を着て、かなりにぎやかな人。まさにギョーカイ人といった感じで楽しい。Showは出発ロビーにあるDuty Free Shopの前の特設ステージで行われた。Duty Free内のshopのブランドや各航空会社のフライトアテンダントのコスチュームなどが中心だった。私ったら最後の最後までミーハー。

実は昨日も。。。バイト先のイーストヴィレッジの寿司屋がTV収録のロケ現場になったので、ちゃっかりお邪魔してきたのだ。「ELIMIDATE」という男女のデート番組がある。これは男性1人に対して女性が4人くらいでグループデートを重ね、毎回1人ずつ女性が脱落していき、最後には男性が選んだ1人が残るという番組である。そのデート現場に私のバイト先が使われたのだ。行かない手はない。私が店に到着したころにはもう収録の終盤で、主役の男性がTVカメラの前でインタビューを受けているシーンの撮影だった。ディレクターの質問に対してひたすらカメラ目線で話をしていた。今日集団デートしたひとりひとりの女性についての感想や自分の恋愛感などを話していておもしろかった。一部始終を見ていたバイト仲間の話だと、収録中、女性同士が激しく口論していたらしい。そのせいなのかはわからないが、その主役の男性、「アグレッシブな女性は好きだけど独り善がりの人は好きじゃないんだ」とか言っていた。私はそのときカウンターで寿司を食べていたのだけど、カメラマンがやって来て、「顔は映さないから後ろ姿を映していいですか?」と聞いてきた。きゃーーとうとうNYでTVデビューだわ〜!なんて内心思いつつ「いいですよ」とCoolに答えた。そしてすぐ撮影が始まったんだけど、なんのことはない、私を映したかったというよりも、スシBarでお寿司を握っているシェフたちの作業風景を映したかったみたい。メキシコ人シェフのアルフレードは顔がこわばっていた。

というわけで昨日に引き続き、今日も最後の最後までミーハーな私。ヴァージンアトランティック航空でいざロンドンへ出発。こうしてあわただしくも楽しく、私の1年に渡るNY生活はピリオドを打ちました。NYで知り合ったすべての方々へ感謝。Nobody can stop New York City!!!

 

(1月へ続く)