●2005.1月● ロンドン、日本
日本に帰国して間もなく2ヶ月。2年ぶり年末年始を日本で迎えたわけですが、私の頭の中はまだ日本とアメリカを行ったり来たりしているようです。今回の日記はNYの帰りに3日だけ滞在したLondonの日記と、日本へ帰ってからのこぼれ話をお届けしたいと思います。

London滞在記
 
12月3日(金)

Londonのヒースロー空港に到着。早朝だったのでぼーっとして税関で順番を待っていたらイギリス人の税関の列に並んでいたらしく、いよいよ自分の番だと思ったら「君はこっちじゃない」と言われ、外国人用の長蛇の列の最後尾に並びなおすはめに。。。地下鉄で友達の住む駅まで向かうことになっている。噂では聞いていたけどLondonの地下鉄は本当に小さくて狭い。大江戸線よりずっと狭い。そして朝の通勤時間にあたったので車内で朝食を食べている人がちらほら。カレーらしきものを食べているインド系の人も。車内中カレーの匂いが漂っている。あとで話をしたら友達も車内でカレーを食べてる人は見たことないと言っていた。駅には友達の旦那さまがお迎えに来てくれた。昔の職場の同僚がイギリス人の彼と結婚し、もうすぐbabyが生まれる予定。彼もとても嬉しそうだ。霧のLondonというのはよく聞くけど今日も本当にそのとおりの天気で、空が白くどんよりとしていてとても寒い。私としてはイメージどおりだったので毎日こういう天気なのかと思ったら、昨日まではいい天気だったとのこと。

友人宅は閑静な住宅街の中にあった。本当に素敵な街並み。「いいところだね」って彼に言うと、控えめなジェントルマンらしく「小さい部屋だけどとてもSafeなところだ」って。荷物を置いてLondon見物開始! 平日なので友人は仕事、有給を取っていた旦那さまが休日返上で私を案内してくれた。地下鉄を上がるとそこにはビッグベンが。テムズ川越しには大観覧車も見える。まだ自分がイギリスにいるという実感が薄い。途中ウェストミンスター寺院周辺に真っ赤な電話ボックスが4つくらい間隔をあけて建っていて、観光客が中に入って写真を撮っていた。バッキンガム宮殿のそばに来たら、ちょうど兵隊さんのパレードの時間だった。これが有名な兵隊さんたちかぁ。ただ今日は赤い制服じゃなくてグレーのコートを着ていた。格別に寒いからなのか?! 限られた地区にあらゆる重要施設が密集している。NYの碁盤の目の街並みに慣れていたので、Londonのこの入り組んだ地図はぜんぜん頭に入ってこない。バッキンガム宮殿を取り巻く広い公園を横切ると、友達の働く日本大使館が見えてきた。もとは有名なサロンだったとかでとても素敵な建物。場所だってバッキンガム宮殿の目と鼻の先だし、すごいところにあるんだな。

地下鉄へ向かうエレベーター沿いにウェストエンドのミュージカルのポスターが並んでいる。ふと見ると、「Producers」のポスターにネイサン・レーンの姿が。あれ?! 今Londonで公演しているの?!!! どうりでNYのブロードウェイのcastが代わったわけだ。マシュー・ブロデリックとネイサン・レーン主演の「Producers」をNYで観たかったのに、気づいた時には俳優が代わっていて大ショックだったのだ。ネイサンといえばロビン・ウィリアムズがゲイ役で出ている映画、「Bird Cage」で、ロビンのパートナーのオカマさんの役がとてもチャーミングで大好きになってしまったのだ。そのネイサンがLondonにいたとは!! 感激。これはもう観ない手はない、と思って劇場まで行ってみた。そしたらなんとNY以上の人気なのかキャンセル待ちをしている人が座り込んでいた。明日も明後日もチケットは手に入らないと言われてしまった。ブロードウェイではチケットが手に入らないことがなかったので驚いた。せっかくのチャンスだと思ってウキウキしていたのでとてもショック。その後、劇場前を通り過ぎ、「We will rock you」で有名なQueenのミュージカルの劇場前を通ったら若い子たちがたった今、見終わったみたいでかなりテンションが上がっていたらしく「We〜will We〜will rock you!!」と声を張り上げて盛り上がっていた。イギリスの落ち着いた街並みにあって意外な光景だった。

その後、コヴェントガーデンへ。ショッピングモールのかわいい店が集まった場所で、とてもかわいらしいところ。かなり体が冷えてきていたのでスタンドバーでホットワインを飲んだ。すぐに体が温まってきた。Hotアルコールはこういうときにもってこいですね。その後、お仕事が終わった奥様Cちゃんと合流して夕食へ。日本大使館からホテルリッツを通り過ぎ、ピカデリーサーカスまでの道のりを2階建てバスに乗って行くのは、まさにLondonにいる気分が満喫できるコースだ。映画「ノッティングヒルの恋人」でもこの場所でヒュー・グラントがバスに乗るんだよね。やっと自分がLondonにいる実感が湧いてきたかも。Londonのシンボル、2階建てバスも、後ろからドアなしで飛び乗るタイプのバスはもうすぐなくなってしまうとのこと。残念だな。2人が案内してくれたのはSOHOエリアのタイ料理のレストラン。おしゃれなカジュアルレストランで大満足でした。その後、劇場街をお散歩していたら突如、クリスチャン・スレーターの写真が目に飛び込んできた。なんとこのギールグッド劇場で、彼主演で「カッコーの巣の上で」が上演中だった! Fanの私としては観なければ思い、翌日のチケットを手に入れました。かなりいい値段だったけど、こんなチャンスはまたとないもんね。

 
 
12月4日(土)

London滞在2日目。Cちゃんと大英博物館へ。さぞかし荘厳で豪華な造りなのかと思って行くと、想像していたのとはちょっと違い、シンプルで質素な構え。街中を歩いていても“派手”と感じるものはほとんどなく、どの建物も質素な印象。質素だけど中身があるイギリスの底力が伝わってきて、こういうのもいいなぁと思った。トラファルガー広場のクリスマスツリーもとてもシンプルな飾りでした。

話は戻って大英博物館の入場料はタダ。イギリスはどこもタダらしい。さすが大英帝国。その代わりと言ってはなんだけど館内マップが簡素で、行きたいところにたどり着くのに手間取った。私がこの博物館で見たかったのはただ1つ。世界史の教科書でおなじみの「ロゼッタストーン」。本物はここにあったのだ。前はガラス張りになっていなかったらしい。ここは世界的な美術品をびっくりするようなラフな感じで展示しているのだ。そばで見ていた日本人の学生さんらしき男の子は「なんでこんなすごいのがこんな近いの?!」とびっくりしていた。私も同感だ。日本の美術館はものすごい厳重な警備だから、それに慣れている私たちは本当にびっくりするよね。さすがロゼッタストーン、日本人の観光客もひっきりなしに訪れる。そして次はミイラを見にエジプトコーナーへ。「ジンジャー」という名の、紀元前3400年以上前のミイラなのに保存状態がよく完璧な状態で残っているというものだ。ほんとにすごい。皮膚が骨に張り付いているのまでリアルなのだ。3400年プラス2000年でしょ、5400年以上この状態で保存されているなんてちょっと想像を超えている。ただただ驚くばかりでした。

そしていよいよギールグッド劇場での舞台「カッコーの巣の上で」を観に行く。NYのブロードウェイの劇場群とはまた違って、もっと建物がかわいらしい。年期入って古めかしい感じがいい。かなり前の方の席が手に入ったので舞台がすぐそこ。そしてクリスチャン・スレーターが登場! 会場にも一瞬、別の空気が走った。きゃーーホンモノだ〜。映画「トゥルー・ロマンス」のころからの彼のfan。元ガールフレンドで私の大好きなスーパーモデルのクリスティに「背が高くないからダメ」と言われてふられたって、やっぱりカッコイイ人はかっこいい。ハリウッドスターをこんなに近くで見れるなんてにわかに信じがたい。この作品はジャック・ニコルソン主演で有名だってことは知っていたけど、ストーリーは全然知らなかったので友達の旦那さまがWEBサイトで調べてあらすじを教えてくれたので助かったものの、台詞は私には難しかった。最初から最後まで狂気な雰囲気を漂わせたクリスチャンの演技はすごかった。最後にカーテンコールで出てきたときはみんな総立ち。シリアスな題材のなかにも笑いがあり、とてもよかった。

その後、夜の繁華街を散歩。ある特定の場所を除いてネオンが禁止されていることもあって、街並みはとてもきれい。ビルが高くないのがNYとの決定的な違いだな。演劇のシーンからそのまま飛び出した街並みを歩いているような情緒がある。曲りくねった道も雰囲気がいいし、すっかりLondonの街が気に入ってしまった。街を歩いているとときどき見かけるPUBという表示。日本だとスナック・パブみたいなイメージが定着しているけど「PRIVATE BAR」に対する「PUBLIC BAR」のことだったなんて知らなかった。NYも日本もイギリスのコピーをしていることが多くて発見も多い。SOHOだってCHINA TOWNだってNYよりLondonが先なんだってことも最近まで知らなかったしな。奥が深いなイギリスは。

夜、友人宅でTVをみていたら昔の映画「真夜中のカウボーイ」をやっていた。この映画、NYのバイト先のオーナーが話していたNYを舞台にした映画だ。ちょうど観たいと思っていたの。若い頃のジョン・ボイドと昔のNYが見れた。

 
 
12月5日(日)

朝食後、ハムステッド・ヒースへお散歩。バスに乗って小高い山をあがっていく。途中にかわいいお店が建ち並ぶ細い道があってそこで下車。ひっそりと立ち並ぶ高級住宅街を案内してもらった。日本よりもさらに地価が高いらしくLondonで一軒家をもつのは高嶺の花なんだそうだ。かわいらしい石造り、レンガ造りのおうちが建ち並ぶ小道を通り抜けると、ハムステッド・ヒースの広大な公園に到着。あまりヒトの手が加えられていない自然のままのところで、その雰囲気はどこか日本を思い出させる。NYには公園がたくさんあったけど、すべてヒトの手によって造られていたからなのか、こういう気持ちにはならなかった。不思議だ。公園のゆるやかな上り坂を過ぎると眺めのよい場所に出た。とても気持ちがよかった。その後は飲茶レストランへ。お客さんの顔ぶれをみていると、ここがどこの国だかわからなくなってしまう。中国人の店員、客、インド人の家族、私たち日本人とイギリス人のグループ、、、などなど。友人夫婦のお薦めの場所だけあってとてもおいしかった。NYのチャイナタウンでおいしい飲茶というのをあまり聞かなかったので一度しか行ったことがなかったのだけど、Londonでこんなおいしい飲茶がいただけるとは。幸せ。

明日はいよいよ日本へ帰国する日だ。たった3日のLondon滞在だったけどとてもいい旅でした。すっかり友人夫婦にお世話になってしまいありがたいことです。元気な赤ちゃんを産んでね、Cちゃん。

 

日本へ帰って
 
1月某日
日本に帰国してなんとなく頭がぼーっとしていたときのこと、TVで松田聖子が「渚のバルコニー」を歌う昔のシーンが流れた。彼女の歌声を聞いてハッとした。小学校のころから普段の生活で幾度となく耳にしていた聖子ちゃんの声質に体が反応したとでも言おうか、体中で眠っていた「日本に生まれて育った私」の細胞が再活性化したみたいな感覚だった。そしてなによりhappyな気分になった。日本に帰ってきたんだなと嬉しくなった瞬間だった。

NYの街中を歩いているとよく独り言を言っている人とすれ違った。でもそれは独り言ではなくてハンズフリー携帯で話をしている人だった。日本に帰ってもたまに独り言を言っている人とすれ違う。でも日本で会う人は電話はしていない。本当に独り言を言っている。

NYで着実に人気が定着しそうなお店のひとつに、できたてシュークリームで有名な「ビアードパパ」がある。私が知っているだけで店はニュージャージとアッパーウエスト、ミッドタウンの3ヶ所にある。日本人はもちろん、アメリカ人も好きみたいだ。この前はブルックリンの街角でここの袋を持っている人を見かけた。よく考えてみれば、買ってからクリームを入れてくれるシュークリーム屋なんてNYにはないかも。日本に帰ってきてから、とある場所の「ビアードパパ」の前を通りかかった。1年前にここを通ったときにはすごい行列ができていたのに、なんと今は1人も並んでいなかった。並んでいたのはその両脇の店。パン屋と点心屋。すごい繁盛ぶりだ。日本人は飽きっぽいのかしら。シュークリームのいい匂いだけがあたりに漂っていた。
 

(2月へ続く)