正社員、派遣社員しながら大学院、ニューヨークでインターン、そしてまた日本へ…。「自分流ワーキング」を探して経験を重ねる皆川夏子(仮名・30才)の日記です。めまぐるしく変わる環境と個性的な人たちの中で、彼女はいったい何を見つける!?
   
●2005.8月● 社長になりかわりまして…
 
8月5日(金)

残業続きの日々が続いております。 夜食を買いに近くのコンビに行った帰り、デモ行進の一行に遭遇。「郵政民営化はんた〜い。」デモ。人数も多目でかなりおおがかりなものらしい。面々をみると同世代くらいの男性も多数いて、きって郵便局員が定時後に集結してきたんだろうと思った。 「デモに参加する人は豚だ」(寺山修司談)とまではさすがに思わないけど全然触発されないつまらなそうなデモに見えた。

まぁ、職場がどうなってしまうのか不安だから本人たちだって全然つまらないのは当然だろうけど、この政局の土壇場のタイミングで街を練り歩くことにどれくらいのインパクトがあるのかよくわからない。最近流行っているホワイトバンドを私もつけているけど、郵政民営化とホワイトバンドは深いところで繋がっているのだよな〜。「郵貯が資金源になっているODAとアフリカの飢餓と債務放棄とは本当に深いつながりが」と思いながら、ぼーっと信号待ちしながらデモを見ておりました。

 
 
8月7日(日)

週末をつかって一泊旅行。 ひさしぶりにリゾート気分でお出かけしました。 日ごろの喧騒から解放されてつかの間のリラックス気分。 遠方に見える山々が空とのコントラストを描いて美しく、癒されるな〜と思いながら見ていたら、むむっ、、だんだん山並みが株価のグラフに見えてきた・・・・ここまできたか職業病。。 それにしてもディナーでいただいたイカ墨のおいしかったこと。 日本ではよく新鮮なイカをはらわたの味でいただくのがあるけど、私はそれより、こっちのイカ墨がおいしいソースになって焼いたイカにかけられているのをいただく方が断然好き!あーおいしかった。

 
 
8月8日(月)
最近は仕事にかまけて疎くなっていた政治情勢。それでも今日の決議は朝から気になっていた。「郵政民営化法案」。ちょうど銀行にお金をおろしにいっていたらATMの上に設置してあったTVで国会中継をしていた。まさに投票結果を発表しようとしているときだった。竹中大臣の緊迫した表情が映し出される。結局否決。残念。私はこの問題にかんしてはとにかく民営化して初めてスタート地点にたてる問題だと思っているので本当に残念。日本の民意だから仕方ないけどね。このご時世、民間企業は必死に生き残りをかけて債務を減らし、ディスクロージャーの波にさらされ、健全たるべく前進しなければいけないというのに、当のオカミがこんなでは誰かに敵対的買収されるんじゃないの?!今日はNK細胞が沢山死んだ気がした。あ〜あ。。。
 
 
8月15日(月)

弊社は今月決算発表なので、関連業務で最近は兜町が行きつけエリアに。何度行ってもウキウキしないし、全然楽しくない。けどしょうがない。今回の発表は思ったほど株価へのインパクトが少なく一安堵。私の部署ではこれから製作物のオンパレードで激務の日々が続くのであります。

いまとりかかっているのは会社の事業報告書。入社して数ヶ月の私が社長になりかわって株主の皆様あてに「痛恨の極みであります。」とか書くわけです。いままでこういった文面だけは社長本人が書いているのかとばかり思っていたらとんだ大間違いでした。白髪まじりのオジ様社長のメッセージもライターは20代のOLさんだったりもするわけです。そう思うと企業っておもしろいですね。とはいっても、何度も校正をくりかえし、もう段々思考能力が麻痺して、気がつくと近視眼的に考え始めている自分に気づいて、それではいけないと思ったりしながらやってます。

うちの社長はコンスタントに新聞や雑誌の取材を受けるのでその現物が今日も1社仕上がってきました。社長の起業時の意気込みと会社にかける想い、情熱がプロの文章で見事に表現されていて本当にいつも感心しています。そして思います。そんな社長になりかわってこの事業報告書を作っているのだからどこまでも丁寧に心を込めて作っていかなければいけないんだよな〜と。

 
 
8月20日(土)

社内で分担している自分の仕事の締め切りがかさなって休日出勤が増えてきております。 今日も土曜出勤。当然社内には人はまばらで閑散としているオフィス。 うちの会社はいつもラジオか音楽を流しているので今日もCDをかける。今日は私の大好きなジャズピアニストのCDをかけてみることにする。NYからの帰国ちょっと前にウエストヴィレッジのbluenoteで聞いたこの人のピアノにすっかり聞きほれて、それ以後NYではそのCDをよく聴いていたので曲とNYの街並みがセットになって蘇ってくる。

ほんの数ヶ月前、NYで聴いていたこの曲をいまこうして日本のとある会社のオフィスで聞くとは本当に感慨深い。いまこうしてNY時代をたまに振り返る一瞬があるけど、けして楽しいことばかりではなかったNY生活はいまから思えば後々のための鍛錬だったんだなぁなんて気がする今日この頃。

 
 

8月22日(月)

個人の株主、潜在株主のための会社説明会を行う。ホールは大盛況で満席。客席はおじいさん、おばあさんが圧倒的です。弊社は3番手。普段は投資家相手に説明をする機会多い、社長や上司も今日は個人の方しかも財務諸表等の数字をあまり多様しない説明が必要ということで頭の切り替えが必要です。終了後は会社に戻って反省会。これからの個人向けの説明会をどうしていったらよいのかを社長を含め数人でしばし考える。

私にも意見を求められらたので、以前出席した他社の個人投資家説明会で印象に残った例を話した。会社のポイントを数分の映像にまとめている会社が多く、とても理解度が高いと思った話をしたら、すぐに社長が「それいいね、映像つくろうよ」と言い出した。それ以後の数十分、どんな映像を作っていくかで喧喧諤諤。私がちょっと言った話がすぐ現実味を帯びてしまうところがすごいというか、層が薄いというか。。。当社の映像が完成する日も近い?!

 
 
8月26日(金)

機関投資家を招いて食事会。普段は訪問してオフィスの会議室でのやりとりなのどうしてもカタい印象を描いてしまいがちだけど、やはり、人間同じ食事をしてお酒を飲むということでまったく違った雰囲気を作り出すことができるものなのですね。

今日お招きした3人の投資家の方々もそれぞれユニークな経歴の持ち主。そのうちのひとり、私よりあきらかに年下の女性は10年アメリカにいて昨年帰国。ほぼ私と同じタイミングでこの会社に入ったそう。10年というタイムラグにはまだ慣れていないとのこと。私なんて1年でさえ、色々はカルチャーショックを感じてしまうのだから10年となったらどうなんだろう。。。別の男性は、いくつかの証券会社を経て現職に。10代のころから今やっているような投資の世界で働きたかったとうからすごい。私なんてつい最近まで知らなかったのに。。。

とはいえ、前の職場では営業やアナリストなど好きではない仕事をやりつづけていたので、今の新興企業の投資という仕事ができている状況が心底嬉しい先日お会いした某投資家さんも本当にこの仕事が好きというのが全面に出ていて話していてこっちも楽しくなってくる。なかなか普段の仕事を心から楽しいと思いながらすることって難しいけど、少ないながらもそういう人たちがいるということが嬉しい。私もずっとそっちのグループに入っていられる人でありたいと思います。

 

(9月へ続く)