正社員、派遣社員しながら大学院、ニューヨークでインターン、そしてまた日本へ…。「自分流ワーキング」を探して経験を重ねる皆川夏子(仮名・31才)の日記です。めまぐるしく変わる環境と個性的な人たちの中で、彼女はいったい何を見つける!?
   
●2006.1月● ライブドアショックで1年が始まる
 
1月5日(木)
新年あけましておめでとうございます。 会社生活の友に日記を書き始めて2度目の新年を迎えました。今年もよろしくお願いします。今年は犬年。いったいどんな年になるのでしょうか。 今日が仕事初め。部内女性陣で会社の今年一年の躍進を祈念しに、近くの有名な神社へお参りにいきました。昨年はわが社の業績が芳しくなかったので、今年こそはという神頼み戦略です。

寒い中、企業からやってきたと思われる参拝者で神社は大盛況。お賽銭をするのにならぶとは思ってなかった。会社単位でこんなにお参りする人々がいることを初めて知りました。 今年は社内に厄年関係に当たる人が多いらしく、もともと興味がなく全然気にしていなかった私も実は本厄ということが発覚。厄ばらいに行った方がいいとか色々言われてさすがの私もちょっと気になり始めた。八方ふさがりの年だという上司のお札とともに自分のためにお守りの鈴を買った。これを鍵につけて毎日鳴らして厄ばらいすることにした。会社としてお参りに行くというのは初めてだったので新しいことをした感じで気分がよかった。良い1年になりますように。

 
 
1月9日(月)
前から気になっていた、アメリカの超有名経営者、ジャック・ウェルチの本を読み終わった。経営の本だと思って読み始めたけど、ほとんどヒューマンストーリーで、予想外に感動してしまった。大規模な企業のトップというのはこういうものなのかと感心し、どんどん引き込まれていった。

特に感動したのは、最後の部分、引退をするジャックが自分の後継者の社長を優秀な3名の中から1名だけ選ばなければいけない、という苦渋の決断の場面。後継者を選ぶために7年もの期間を費やすということにまず驚いた。3名とも終始紳士的に振る舞い、お互いに足をひっぱるようなことも何一つせず、ただ自分に与えられた使命を果たし、期待以上の結果を出しつづけた。そんな優秀な3名から1名を選ばなければならないというのだ。そして甲乙つけがたい3名の中からたった1名を選ぶその時の、選べなかった2名へジャック自ら伝えにいく場面は涙が出そうだった。

 
 
1月18日(土)
世間を騒がせているライブドアショック。突然でした。ほんの数ヶ月前、財務責任者のM氏の講演を聞いた。

会場に集まったのは中小企業の経営者や財務関係者、税理士さんなどでほとんどが50代前後。みんな熱心にこの若い経営幹部の話を聞いていた。M氏はとにかくシンプル。話を聞いているとそう感じた。40社以上もM&Aしていてその予実管理をいったいどのようにやっているのか、同席していたわが社の役員も興味津々で質問していました。デューディリはどのようにやるのか、などなど会場からは実務担当者ならではの質問が飛び出し、M氏はスマートに答えていました。基本的に外注できるものはする、M&A専門部隊は30名くらいいる、など。私の会社におけるM&Aの位置付けとは明らかに違うものを感じました。まず規模が違う。そして、本業を補完するという意味で行うのではなく、それ以外のさまざまな目的によって買収が行われるということ。うーん、わが社にとっては参考になるような、ならないような・・・でもM氏の話し方は明快で聞いていてとてもよいものだなと感じました。ヒルズ族を代表する会社の要職にいてもよく言われているような派手なお金の使い方や、夜遊びには魅力を感じないと言っていました。本当に仕事が好きで、会社を大きくすることにポイントをおいているのだなぁ、という感想でした。

そのときの印象が結構よかったので、昨日からのニュースはにわかには信じがたいものです。でも本当に不正が行われていたのだとしたら、さみしいことです。

 
 
1月24日(金)

 ニューヨークから投資会社のアナリストが来訪。私も同席する予定だったので、前もって会社のこと、アナリストのことを調べてみました。あまり大きな会社でもないようで、情報が少ない。投資会社ってほんとこじんまりしているとこが多いからこういうとき情報がなくて困る。で、ふとたどり着いたページにはアナリストさんの写真が写っていました。しかもプライベート。これは彼がボストン近郊のある島にコンドミニアムを経営しているという記事でした。

この島、なんか聞いたことあるな・・・と思って、!!!思い出した。ジャック・ウェルチがこの島に別宅を持っていて本にもよくここに滞在していると書いてあったのだ。興味が湧いてきてこの島についてもう少し調べてみたら、相当有名な島みたい。各界の名士がこの島に別荘を構えていて、ラルフ・ローレンもその1人。彼はこの島での生活からインスピレーションを受けてデザインをしているらしい。なるほど〜。私はボストンに行ったことはないし、NYからはちょっと離れているのでこの界隈の話題は耳に入ってこなかった。なんかこれだけの人たちが魅了されるこの島のことが気になり始めたぞ。

ということで、話はそれたけど、そのアナリストさんがやってきました。おそらく私より若いのだろう、その人は質問を沢山していそがしそうに帰っていった。あなたのウェブサイトをみましたよ、とかそういう余談を話す暇は一切なかった。でもこの人、若いのもあってか、日本の企業財務について知識が薄いようだった。こんなことで大丈夫か?と少し心配になった。

これまで度々思うのだけど、欧米人投資家やアナリストは本当にシンプルなことにしか興味がない。私が中心になって作った英語版事業報告書も情報が多すぎて、もっと数字だけに的を絞ったものではいいのではないか、とか言われたこともあるし。確かに一理あるけど、もう少し、わが社のビジネスモデルにも興味を持ってほしいよなぁ。割高になった株を売って、割安になった株を買う。これしか考えてないみたいなんだけど、企業を形成しているのは人間なんだからさぁ。

 
 
1月31日(火)

今日で中尊寺ゆつこさんが亡くなって1年。本当に早いものです。 1年前の今日、私はNYから帰国した翌月でまだ定職もなく、アルバイトをしていました。その最中にメールで家族や友人から訃報の連絡が入り、呆然としたことを今でもはっきり覚えています。

あまりにも急だったので交通事故かなにかかと思っていたら癌とのことで二重にショックが広がりました。入院されていたことはもちろん、ご病気だったことも全然知らずにメールで普通に会話をしていたのです。そんな最期だったせいか今でもこの世でお元気にしていらっしゃるのではないかと心のどこかで思っているので、たまにふと、亡くなったことを思い出し急に悲しくなる、ということの繰り返しの1年だったような気がします。この1年に起こった世界でのこと、日本でのこと、ゆつこさんだったらどんな斬りかたをしてくれただろうか、と考えたりします。

 

(2月へ続く)