正社員、派遣社員しながら大学院、ニューヨークでインターン、そしてまた日本へ…。「自分流ワーキング」を探して経験を重ねる皆川夏子(仮名・31才)の日記です。めまぐるしく変わる環境と個性的な人たちの中で、彼女はいったい何を見つける!?
   
●2006.6月● 「懐かしい人に会う」月間
 
6月2日(金)
今日も直営のレストランでのTV取材&雑誌取材の立会い。普段、レストランのシェフと直接接する機会がなかなか持てないのでこういうときに意外な一面が見れることも多い。今日はワイドショーのグルメコーナーの取材。優秀なカメラマンの方だそうで、料理の映し方も見事。TV用に強力なライトをあてたら、前菜のゼリー状の部分が普段ではみることのできないような、輝きを出していて綺麗だった。それを見たシェフも大喜び。自分の作った料理がキレイに映し出されるのはやはり最高の喜びなのだろうと思う。

午後は、富裕層向け雑誌の対談の取材。スポーツジャーナリストとして有名なT氏と大手芸能プロダクショントップの対談。終了後、担当編集者の方と歓談。お金持ちにも2種類あり、持っていても使わないケチ系と使うアクティブリッチと呼ばれる人たちがいるとのこと。いかにこの後者の人たちにお金を賢く、楽しく使ってもらうかを提案してる雑誌なんだそうだ。そういうクラスの人たちが来てくれるレストランにならなければ・・・。

 
 
6月10日(土)
数年前に所属していたアフリカ関係の学生サークルに久しぶりに顔を出した。実に4年ぶりで。懐かしい面々や、自分より一回り以上も若い学生とつかの間の時間を過ごした。普段忘れがちな、ビジネスやお金のこととは違う心の引き出しを久しぶりに開け放ったような気持ちになった。後輩が沢山世の中で活躍している様子も聞いた。その中の一人の女性は本も出版し、かなり話題になっているとのこと。いまは日本で出版社系の会社でアフリカに関する仕事に携わっているそうだ。彼女が本を出した、出版元の会社も、彼女が働いている会社の社長も私は興味があったのでそれを聞いた瞬間感心すると同時に羨ましくもあった。さっそく、その後輩の女性にいきおいづいてメイルもしてみた。後続の人たちが目覚しい活躍をしているのを知ると、こっちもうかうかしてられないな〜といい刺激になります。
 
 
6月15日(木)
約4年ぶりに、K先生にお会いした。K先生はケニアで獣医やさまざまな社会活動をされている方で、年に何度か日本で仕事をするために帰国される。4年前にケニアに渡航した前後に色々とお世話になった方で、今回は本当に久しぶりの再会だった。街角の屋台風レストランで食事をしながら懐かしいケニアの話に花が咲いた。

4年前はケニア国民の約10人に1人か2人がHIVの感染者だった。その現状は今も変わらないとのこと。というかさらに悪化しているらしい。先生はHIVの感染の拡大を食い止めるために地道な活動を続けている。ケニアといえば、数ヶ月前、初の国民投票が行われたのだが、投票用紙には賛成・反対の文字のかわりにバナナとオレンジ。YESがバナナで、NOがオレンジを示していて、識字率の低い国民のために考え出された投票ルールだそうだ。なんとも微笑ましいような印象をついもってしまうが、私が驚いたのは、その投票率。文字が読めなくても、投票に行かなければいけないという認識が高く、日本の総選挙の投票率をはるかに上回っていた。途上国の投票率と簡単に比較はできないけれど、日本は学ぶところがあるのではないかと感じた。

そんな話をしていたら、先生からこんな話を聞いた。日本の有名バンドGがかの、ホワイトバンドのキャンペーンキャラクターとかで、まとまったお金があるので、ケニアのスラムを訪問したいと言い出して、K先生にアレンジを依頼してきたそう。でも、訪問したい日程がなんと、その国民投票の直前だったらしく、危険で何が起こるかわからないのでやめておいたほうがいいとアドバイスをしたんだそうだ。4年前にもこのバンドのリーダーが自分の本の収益の一部をケニアのある小学校の寄付金にあてたいと言い出して、現地のコーディネーターの方が、苦心していたのを思い出した。

日本のトップアーティストももう少し、腰をすえてこの際、援助に取り組んだらどうかと思う。援助を必要としているところにではなく、つてがあるところに援助をしているだけでは、ただの自己満足だと思うのだけど。

 
 
6月23日(金)

なんとか朝の5時に起きてワールドカップの日本対ブラジルを後半から観戦。すでに1:1になっていた。でも、1点もいれられないかと思っていたのですごい!と思いながら見守っていた。守りが個人の1対1でなくゾーンで守っていてそれがうまく機能しているようにも思えた。でも、やはり、ブラジルの壁は厚かった。サッカーのことは全然よくわからないのだけど、中田選手が好きで、彼が出ている試合だけは見ている。今回の試合も彼はとてももどかしそうだった。試合に負けて、グラウンドに寝そべっていた彼の姿はなんとも言葉に表すことができなかった。

やっぱり、サッカーワールドカップはヨーロッパとそのかつての植民地の国々での祭典だから、そうでない日本にはまだまだ歴史が足りないのかな、とも思う。川渕チェアマンがずっと言い続けている、「サッカーはコミュニティで育つ」という理想が日本にやっと根付きつつあるという環境からみても、まだまだこれからなのだろうなと思った。よくよく考えてみれば、本大会に出れること自体がすごいことだということをいつの間にか私たちは忘れてしまっていたようだ。サッカーは民主主義が発達した国で強くなる、と前に聞いたことがあるが、そうなってくるとまだまだ日本は発展途上国なのだから、無理もないなと思ってしまう。

 
 
6月24日(土)

2年ぶりに以前の職場の上司の方々とお酒を飲んだ。ニューヨークに留学する直前のほんの短い期間、派遣社員として働いていただけの私に、この会社の方々は本当に親切にしてくださる。留学先では、現地法人の方を紹介してもらい、食事をご馳走になったりしてお世話になった。帰国して1年以上もたった今日は私のために、他部署の部長さんクラスの方々も集まってくださり、昔話で盛り上がった。思いがけず懐かしい面々に囲まれて、幸せな気分を味わえた。

 

(7月へ続く)