正社員、派遣社員しながら大学院、ニューヨークでインターン、そしてまた日本へ…。「自分流ワーキング」を探して経験を重ねる皆川夏子(仮名・31才)の日記です。めまぐるしく変わる環境と個性的な人たちの中で、彼女はいったい何を見つける!?
   
●2006.12月● 忘れられないイブ、そして大晦日
 

12月6日(水)

異動になって数週間。当初から一緒にやっていたアルバイトの女性が急遽家庭の事情で辞めてしまい、一人になってしまった。ピンチ!やりたいことが全然できない。時間がない。対お客様のことは待ったなしで処理しなければいけないし、優先順位をつけた、後ろの方のことがどうしてもできない。でも与えられた時間は決まっているのだし、ばたついていても始まらない、と心の中で踏ん切りをつけて割り切ることにした。

とにかくもう一人誰かをつけてもらわないことには始まらないということは上に伝えリクルートしてもらうことにして、それまでの時間はなんとか一人でできることだけやろうと考え直した。毎日終電。だけど、みんなでよくしていこうという仲間がようやく揃った感じで、不平不満も多いけど、なんとかこのチームでふんばっていかないといけない。それにしても不平不満が多くて、最近この私が聞くのに慣れて、忍耐強くなった気がするよ。ちょっと前に「般若心経」の本読んでおいたのが効いたかな。。。

 
 
12月24日(日)
今日は2ヶ月以上もかけて秘かに進めてきた大プロジェクトの実行の日である。(おおげさ)それは、日本を代表するスポーツ選手Aさんが、わが社のレストランにクリスマスディナーをしにきたのです!とある方のお疲れ様会とクリスマス会をかねたごくごく親しい人たちとのパーティにうちの店をつかってくれたのだ。

この日がくるまでには2ヶ月以上の長い道のりがあった。Aさんの親友Kさんが私の携帯に突然電話をくれて、パーティをする場所を探しているとのこと。Aさんがホストだけど本人は日本にいないのでKさんが店の手配をすることになり、私に相談をしてきてくれたのだ。Kさんとは雑誌の取材を通して知り合いになり、一度新しいレストランにご招待して一緒にお食事をしたことがある。あのAさんがうちの店に来てくれるなんて、にわかに信じられなかったけど、これを逃す手はない。Kさんが国際電話でAさんと相談して、私に電話をかけてくる、そんなやりとりが何度も繰り返された。メニューをFAXし、同席する人全員の好き嫌いを聞き、店のスタッフとやりとりを重ねた。幸い、その店のチーフが同期だったので話が早くてとても助かった。

KさんからもAさんがメンバーに入っていることは口止めされていたので店側でも知っているのは極少数。当日も私が最初から最後までぴったりドアの前で待ち構えるという体制をとった。店に入る前にKさんからAさんを紹介された。全然気の利いた言葉が出てこなくて、普通の挨拶しかできなかった。AさんはTVで見たままで素敵だった。しかも今日は親しい仲間との集まりなのでとてもリラックスしていて、私にもとてもフレンドリーに接してくれた。今日の主役のファミリーが先にレストランに入っていて、そのあとからAさんが花束をかかえて入っていくという設定らしかった。個室の前で誰から先に入るかで、Aさんや奥さん、Kさんがケンケンガクガクしている様はとても微笑ましくて、私も一緒に笑ってしまった。

一同がテーブルについて食事が始まる前、Kさんがあらためて私をみなさんに紹介してくれた。中には元スポーツ選手やアナウンサーの方もいた。KさんとAさんは前から仲良しなのは聞いていたけど実際本当に仲がよく、そんなKさんと知り合いの自分がなんだかとても不思議だった。Aさんは終始上機嫌で、サービススタッフやシェフがとてもよいチームワークで動いてくれたこともあり、食事も時間も堪能してくれたみたいで、私としては本当に嬉しかった。時折Aさんたちは個室を出てレストランの中にある喫煙スペースでKさんたちと談笑していて、とてもくつろいだ様子だった。クリスマスディナーのために来ている数組のカップルがAさんの存在に気がついてびっくりしているのを見ているのが結構おもしろかったなぁ。

食事の最後に準備したデザートワインがとてもいい香りだったのでソムリエに「私も飲みたい」とおねだりしたら、ほんの一口残しておいてくれた。とびきりに甘くておいしい。Aさんと同じデザートワインを飲めた今年のクリスマスイブは仕事とはいえ、一生忘れられないイブになるだろう。

 
 
12月31日(日)
数年来の念願だった、大晦日の「ジルベスターコンサート」へ行ってきた。ここ数年毎年見ていて、来年こそはといいつつなかなか行けなかったのだけど、今年はチケットメイトに申し込み本格的に挑んだ。

一月前の予約開始日は散々だった。気合をいれて、会場のチケット窓口へ朝から行ってみれば、「今日は電話受付のみです」と言われ、しかたなく、その場から携帯電話でチケットセンターへかけることに。でも携帯電話ってリダイヤルがおそくてじれったいし、そこがあまり電波がよくなかったけど外がエラく寒くてでたくないので、近くにあった公衆電話からかけようとしたら、小銭がなく、スタバでくずしてまた戻ってきて、公衆電話から狂ったように何十回もかけ続けた。でも案の定つながらず・・・・もともとこういう電話でチケットをとるということに慣れていないので、30分もするとあきらめの心に支配されてきた。

あきらめて帰ろうとして、歩きながら、とりあえず、惰性でかけてみた。地下道に入ろうとしてもう電波が切れそうになったとき、女性の声が聞こえてきた。つながった!!かけはじめてから1時間半後のことだった。。。。その努力が報われて無事今日を迎えることができました。

指揮者は私の母校の先輩にあたる方でいまから20年以上前、母校の創立記念のコンサートで壇上にたたれたとき、私が後輩代表で花束をお渡ししたものでした。そんな縁を感じながらコンサートが始まりました。第1部が終わって休憩の間に軽食コーナーへ行くと、わんこそば程度の年越しそばが売っていて、結構みんな食べていた。シャンパンを飲む人、コーヒーを飲む人、さまざまでした。

そしていよいよ第2部の開始。ここからはTVの生中継が入るのでTVカメラやADがいて掛け声や拍手の指示がとびます。なんとなく会場全体が一体となって高揚感がただよいます。年越しまであと30分。モーツァルトの『フィガロの結婚』から始まりました。カウントダウンの曲『威風堂々』が始まってからは時計が気になって演奏も半分くらいしか耳に入ってこなかった感じです。無事、0時ぴったりに演奏が終了し、華やかな音とともに紙ふぶきが舞いました。なんともいえない興奮が会場をつつんでいました。楽しい〜!指揮者の方の背中を見ながら、こんな方と同じ母校であることに誇りを覚え、そんな環境で私を育ててくれた、隣にいる母に感謝をしたくなりました。

思い起こせば今年はipodを買ったこともあって音楽を聴き続けた1年だったような気がします。こうして新しい年を先輩指揮のオーケストラの演奏のもとで迎えられた2007年は昨年以上に素敵な年になるような気がしてきました。この日記を読んでくださっている方々にとっても素敵な2007年になりますように。

 

(1月へ続く)