●2002.8月(1)● 田中康夫



田中康夫 (政治家・作家 1956〜)

東京都武蔵野市生まれ。小学校から高校までを長野県で過ごす。1980年、一橋大学卒業直前に停学になり、同年『なんとなく、クリスタル』で文芸賞受賞。作品は映画化されるなどブームになる。1981年に大学を卒業し、モービル石油に入社。同年5月に退社。同年6月に結婚するが、翌年4月に離婚。1991年、湾岸戦争への日本加担に反対する運動に参加。1995年、阪神大震災後に神戸でボランティア活動に従事。また、神戸空港建設反対署名運動のリーダーとして活躍した。2000年10月長野県知事に就任。「しなやかな県政」をモットーに「脱ダム宣言」などを訴えた。しかし、県営浅川ダム・下諏訪ダムの建設を中止したことにより、ダム建設推進派の県議会が反発。2002年7月5日、県議会より不信任決議案が採択された。主な著書に『神戸震災日記』『いまどき真っ当な料理店』他。日本ペンクラブ会員。


●中尊寺の分析●

この漫画のオチは、本当にコンクリートのダムを作られちゃったらビーバーは木のダムを作れなくなるのにね、と。まあ長野県にビーバーがいるわけないけど。…しかし康夫ちゃん、ピンチである。

相当前だが、康夫ちゃんには2度ほどお会いしている。やはりキョーレツでした。「あんた、ちょっと、アタシに挨拶は?」というパワー。でも実際はとても紳士で、京都の料亭にみんなで行った時、ヘアメイクのアシスタントのそのまた下っ端(ホントは来ちゃいけないような身分の若い子)にまで、丁寧にドアを開けてあげてエスコート。しかも話はすごく面白くて、全体を盛り上げる気配り、これじゃあスッチーにモテるよな、と思ったものだ。

それはおいといて、扇千景・国土交通大臣が「アラ、ダムがなかったらタイヘンよ。台風が来た時、川が溢れておウチが流されちゃったりしたら、どう責任とるおつもりかしら?」というようなとを言っていた。確かにそれも説得力はある。とにかく「脱ダム」は、政策というか、田中康夫の一つのスローガンというか、象徴であり、キャラでもあるわけだ。「ダム」という物理的に巨大なものを作るか作らないかというのは、少なくとも小泉首相の不良債権処理のような、ある種数字上の話(実際これに付随しておこくことは目に見えるものではあるが)よりはるかに分かりやすく、誰の目にも見えることだ。だってダムはデカイし。これは、すごくわかりやすい対立ではあるわけだ。

しかし、ダムの代わりになる森林整備など、もっと具体的に動かしていかなくてはならないというものわかる。でも、康夫ちゃんの問題意識の高さと行動力は、神戸の地震の時といい、そんなのと比べちゃいけないけど楽な作家センセイ(夕方からベロンベロンに酒飲んでるセンセイもいるしさ)が多い中、内容以前に、私なんかそれだけで頭が下がる。是非とも再当選していただきたい。