フランスを代表する社会学者のジャン・ボードリヤールは、最近では10月の来日講演で、早稲田大学の大隈小講堂を超満員にしたことで話題に。スーザン・ソンタグ、ノーム・チョムスキーと並んで、日本の大学生にも人気の現代思想家である。現代の思想を語るとしたら、もちろん“グローバリズム”を避けて通ることは出来ない。多くのそれ系の学者たちとは一線を画し、鋭く文明批評をするボードリヤール。74歳!という高齢にもかかわらず、ヴァーチャル・リアリティから湾岸戦争、イメージの暴力などまでガツンとかます。
最近で有名なのは、9.11テロ直後にルモンドに発表した論文「テロリズムへの想像力をはぐくんだのは超大国アメリカ自身だ」は、直後に言うのはキビチイ内容と思うけど、やっぱそうなんでしょうね。スーザン・ソンタグもそうだったけど、あれだけの被害者が出たので、こういうことを言うとバカな人たちからテロの加担をしていると攻撃を受ける。でもこれもグローバリゼーションは危険だという警告だったわけで、それについてはずっと学者たちは指摘してきているのだ。ボードリヤールは、「普遍的な共通の価値観を押し付けると危険で、ヨーロッパは過去においてそれで失敗しているから、今みんな個人主義だ」と言う。ですよね〜。
フセインは捕まったけど、小泉さんは自衛隊派遣をやめない。アメリカに気に入られようとしているだけで、これは国際社会の一員としての協力なんかじゃない。この件に関してはフランスはもちろん、カナダ、韓国、ドイツ、ロシア、メキシコはシカトぶっこいているんだからね。どの国もアメリカに依存していたり、利害関係が大きい国ばかりだ。でも派兵については加担しないんだから。それなのに日本は情けないなあ。
さて、グローバリズムは終わったというけれど、私が「こりゃあグローバリズム(世界単一価値)だ!」と感じるのはコピー商品を見る時。NYのチャイナタウンのニセ・ブランド物屋へ行くとグッチ、ヴィトン、ディオール、フェンディといっぱい偽物が並んでいるけど、そこにもハヤリがあって、今ならヴィトンのペガス(キャリー)が人気。それは本店と同じ。7年前は同じ店でもシャネルのポーチが幅をとっていた。ここまでニセのトレンドも細かくて本物と一緒だと(当たり前か)、この価値観の浸透に「グローバリズムは一生終わらない!」と溜息が出るのであった。