1999.7月(2) オサマ・ビン・ラディン




オサマ・ビン・ラディン
(国際テロリスト、1957〜)
サウジアラビアのリヤドに生まれる。父はサウジアラビア最大のゼネコンオーナー。16才頃からイスラム原理主義への傾倒を深め、イスラムグループと関係を持つようになる。79年のソ連のアフガン侵攻時、ソ連に対するジハード(聖戦)遂行のイスラム義勇兵の1人としてアフガンに渡り、難民援助等に豊富な資金を提供し、英雄視されるようになる。ところが1990年の湾岸戦争時、サウジアラビアが自国に米軍を駐留させた事に彼は猛反発、アメリカ寄りのアラブ諸国政府に対する不信感を強め、反米意識を鮮明にしていく。過激な言動により、91年サウジから追放され、94年には国籍も剥奪される。1998年には他のイスラム過激派グループとともに「アメリカ人とその同盟者は、軍人、民間人を問わず殺害するよう」イスラム世界に呼びかけた。1998年ケニアの首都ナイロビとタンザニアの首都ダルエスサラームで、アメリカ大使館を狙った同時爆弾テロが勃発、合わせて250人以上が死亡したが、アメリカはビン・ラディングループの犯行と断定、アフガニスタンの彼の活動拠点をミサイルで爆撃した。その攻撃を逃れたビン・ラディンは、ただちに報復テロを予告した。

●中尊寺の分析●

国際テロリストのリーダー、オサマ・ビン・ラディンにまた動きがありそうな今日この頃。政治学科で中東問題の研究をしていた私がラオサマ・ビン・ラディンに注目してないはずはないのだ。彼は、もともとサウジ・アラビアの大富豪の長男で、2億ドル以上の遺産を農業や建設、金融業などに投資して大成功し、個人的にアメリカに戦争をけしかけてる大金持ち…といったところか。戦争というのは普通は「国対国」でしょ?個人的にやるものではないよ。だっていったい、いくらかかるんだ?お金がいっぱいあって個人でお城や湖を持っても普通ハイテクミサイルは持たないでしょ?

今、第2のコールド・ウォー(冷戦)といわれているのがアメリカと中国だ。(中国の発達はもはや旧ソ連をしのぐ大国ぶりとなってきたわけです)それを考えても、個人が超大国相手にけんかするっていうのはどんくらいとんでもないことか考えてみてください。しかも代理戦争。人の国(アフガニスタンやスーダン、ケニア)を借りてやってるんだからね。人んちで大げんかしてるようなもんだよ。単純に言うとそういうことなんですが、実は国際政治はそんなシンプルではない。その裏にはもちろん大きな国際的テロ組織があるし、民族問題、イスラム原理主義、ユダヤ教と十字軍の宗教問題が複雑にからんでいる。軍事面においてもペルシャ問題、第1次中東戦争までさかのぼる。そしてケニアのナイロビ米大使館襲撃事件の1周年記念としてこの男はまたすごいテロをたくらんでいるかもしれない。

ナイロビの米大使ブッシュネルさんと私はビクトリア湖でその1年前にデイナーをした仲なのだ。だからすごく心配したよ。こんどはどこを狙うのか、暴れん坊ビン・ラディン!しかし、この男が結構男前なのは認めざるを得ないところだ。神出鬼没にして目立ちたがり。テレビにも出るしタイムやエスクワイアのインタビューも受けます、ってのがまたすごいんだよね。イギリスでは彼は上流階級のセレブリティらしい。その前に国際法違反しすぎだ!クリントンも同罪だ。やっぱ世界平和だよネ。