「世の中には、似た人が3人はいる」っていうよね。いたんです、そっくりな人が。似た人を見つけてしまっただけでこんなに幸せなのは、その人が金城武さまのようだから。ムフフ。
近頃、一息つく間もなく絶え間なく仕事をしているようで、けっこうゲンナリしてい
るの。今日も切り上げただけで、まだまだ残っている仕事があったんだけど出かけてしまったの。いざ、パチンコ屋へよ。ほんとうは少しでも早く帰って寝た方が、お肌のためにも健康的にもいいのはわかっているんだけどさ。そうもいかないのが人間なのよね。ああ、自分はいま不健康なことしているんだなって思うと、妙に楽しいところあるもん。とくに何をするわけでもないのに明け方まで起きていたり、コンビニに行くだけでも、いつもと違う感覚に浸れていいのよ。
でね、その気になっていつもは行かないところにある店にいって、パチスロ台に座ったから結果的に金城君似を発見できたのよ。その人のこと、はじめは気がつかなかったの。台を移ってきて、私の隣に座ったの。少ししたら、私の台に当たり目が入ったんだけど、それが押せなかったのよ、自力では。そうしたら「押しましょうか?」といってくれたので、顔を見たら…その時は、ただのボーナスだったんだけど、私ったら、そのゲームのリーチ表なんか見て、いかにもあんまりパチスロに慣れてない素振りを無意識でしているの。すると、またまたその人が「ボーナスだから、ただ押すだけでいいんですよ」と親切に教えてくれたのだ。実はそのときまでは、かなり似ているという印象はあったんだけど、顔を見たのも一瞬だったし、遊びにきているんだからという気持ちの方が強くてラッキーぐらいのノリだったのよ。その証拠にメダルがなくなると席を立って、もうその人が見えないほかの列に移ったんだから。
そうしてほかの台で遊びだしたら、その人がうろうろしているの。そしてそして私の隣の隣に座ったのだ。なんとなく意識しながら遊んでいると、今度はボーナスではなくて本当たり。一方、その人はどんどんコイン買っているの。私のコインがまたなくなる頃、今度はその人に本当たりがきたので帰れなくなっちゃった。だって隣のおじさん越しに見れば見るほど、金城君に似ているんだもん。髪型といい、背の高さといい、目といい、そして長くて細い指といい、まるで金城君。そこまで何度もチラチラ盗み見して観察すると、さっき聞いた声まで金城君と同じ声で、もしかしたら本人かもしれないんじゃないかと思ってしまった。日本に来ていて、おしのびで遊びにきているのではないかと。彼の方も、こっちを見ているようでもあるし。
だからね、いろいろ考えたの。金城君でも、金城君でなくても、そんなことはどうでもよくて、なるようになるんだと。これでも、けっこう男に用心深いというか、小心者の私にとってはかなりの勇気をもった決心だったのに。結果は…神様のバカ。その人の台は、その後も大当たりしていました。それなのにコインを買い続けているうちに、私の台にも大当たりがきてしまいました。私の台が当たり続けているうちに、その人のコインが…何度もこっちを見ていたのに、帰る時もうろうろしてたのに。私の台はなぜか調子がよくて、その後、帰ったと思っていたその人がまた見にきたときも、大当たりしていたのよね。
決心したはずだったのに、台を手放すことができなかった。めったにない連続大当たりのせいなのか、やっぱり勇気がなかったのか、わからない。でも、またその店に行って、その人を探してみたいわ。