●2001.2月● ほんとうに春がきていいのかしら?
2月5日(月)

鬼なんでしょうか、私は。そりゃあ人の不幸を「ざまあみろですね」とは、いいましたよ。ずっと浮かない気分で過ごしているので、多少目がつり上がっているかもしれませんよ。でもそんなことで鬼扱いされたのでは、たまったもんじゃない。なんでブツブツとこんなことをいうかというと、節分だったから。土曜日、仕事から帰ってきた娘に、当然のように「鬼」を要求するのよ、うちの母親は。自分は気持ちよく豆をぶつければいいけれど、ぶつけられるこちらの気持ちなんてお構いなしなんだから。たかが豆まきだといわれるかもしれないけど、いまは触れればなんでも青くなるほどブルーまっしぐらなのに、むごいでしょう。形だけの豆まきならそれでも我慢のしようがあるけれど、袋いっぱいまき散らさなくてもね。泣きそうになってしまいましたよ。ああ、みんなみんな嫌い。一人で山にでもこもりたくなってきたぞ。

2月14日(水)

世の中がとんでもないことになっている気がする。原潜がえひめ丸に衝突したのもとんでもないし、森さんがゴルフをやめずにただの事故と言い放ったのもとんでもない。ある人の話では、あと30年はとんでもない世の中なんだって。60年続く停滞期があと30年も残っているんだって。あと30年不調だなんていわれると、この数カ月不調でも仕方がないかとも思えるけどさ、それは問題が違うのよね。

今日は大きめのバッグをもっていそいそと足早に歩いている女の子を見かけたけど、やっぱりバレンタインは恋人たちにとってはイベントなのよね。どうでもいい私でも、やっぱりチョコレートチェックは欠かさなかったけど。買う気もないのに、いろんな売り場をのぞいて試食までしてしまった。会社ではアルバイトの人たちは、バレンタインなんて異国のわけのわからない行事でしょうというそっけない態度だし、社内便として飛び交っていた角張った封筒もすっかりなりをひそめている。

それにしても気になることが3つある。1つは、会社のおじさんたちの機嫌の悪いのは、作業の疲れがたまっているからなのかチョコレートをもらえなかったからなのか。2つめは、金城君はチョコレートをいくつもらったのか。ラストは、バレンタインってアメリカの恋人たちがお互いに贈り物をする習慣からきたものでしょう。フランスが核実験をしたときはフランス製品を買わない不買運動の動きがあったじゃない。今回アメリカのルーズさとか不誠実な態度に対して、アメリカ製品を買わないという動きがないのは何故なんだろう。アメリカなしに日本は語れないからなのかしら。そしてやっぱりチョコレートなしに愛も語れないのかしら。

2月20日(火)
少しずつ春めいてきたのね。でも春物を買う気にも出す気にもなっていないわよ。あったかくなってきたと思うと、必ず底冷えのする日がくるんだから。自分の精神状態も同じ。元気になってきたと思って前向きになろうとすると、とんでもない目にあうんだから。だから今日、ちょっとおもしろいことがあっても油断なんてしないの。

今日は滅多にお会いしないようなお堅い人たちに会ったのよね。法律関係のおじさまに。はじめはお堅い仕事の人らしく厳粛な感じだったんだけど、話をしたり質問をしたりしているうちにだんだん感じが変わってきたの。なごやかになりつつ、最後には大きな声で笑っていらっしゃいました。うまくいってよかったと胸を撫で下ろしたんだけど、あることに気がついたの。私って、ううん私だけじゃなくて誰でもそうだと思うんだけど意外な人と話が合うのよね。自分とはまったく違う分野の人たちと話が合うことってあるものなのよね。私の場合、それがお堅い仕事の人だったり、それとは正反対の柔らかいというのでしょうか、そういう人だったりするの。たとえばお医者さんだったり弁護士だったり建築家だったりもするし、美容師だったりタクシー運転手だったりもするわけ。普通の仕事といったらなんなんだろうと思ったけど、結局は自分のイメージでしかないのよね。

とにかく違う分野の人との間でも共通する意識や感覚や波長があうとすごく幸せ。それとは逆に共通項がたくさんありそうだと思っている人と、話や意識が合わないと地獄に突き落とされたような気分になってしまう。結局人と人の関係でしかすべてないんだけれど、なるべく気持ちよくうまく人と付き合っていきたいよ、ほんとうに。

2月26日(月)

結婚するのね。若くてきれいで仕事もうまくいっている時期に。そうすると、もう若くなくてきれいでもなくなってきていて仕事もはかばかしくない人たちは、どうすればいいわけ? 反町君と菜々子ちゃん。人の幸せを妬む気はないと思っていたけど、うらやましがってはいるかも。よくあからさまに顔色を変える人っているじゃない。あれだけは嫌だけど、「いいな」を連発するくらいにはなっている。友人にも聞いてみたけど、同じみたい。だからね、幸せでも、あんまり人に言いふらすものじゃないのよ。きっと結婚式だってテレビで中継するんでしょ、野口五郎みたいに。きっと見るんだろうな。興味ないふりして、しっかり見るんだろうな。そのときはもっともっと明るく元気でいたいな。

反町君はかなりいい男だとはおもうけど、ファンじゃないから助かったようなものかも。これが大好きな金城武さまだったら、いまごろ泣きわめいていただろうな。人生に絶望しただろうな。無駄だと知りながら、署名運動でもはじめるかも。新婦を呪いそうです。お願いだから、金城君には結婚なんてしてほしくない。関係ないけど身近なところでは、Y君にもまだまだ結婚してほしくないな。


(3月へ続く)