●2002.2月● なにが起こるかわからない。
 
2月4日(月)

まさにブラック・マンデーです。ほんとうに何が起こるかわからないものですね。うちの局の大黒柱といってもいいようなクライアントの年間プレゼンが、負けてしまったんです。その扱いも大きくて、しかも年間プレゼンですよ。局全体に影響をおよぼす話です。みんなとっても暗いの。ため息が充満していて、ここで笑ったりしたら張り倒されるかもしれないという緊張感が漂っていました。広告の評判も悪くなかったように思うのに、商品だって売れているのに、それでも負けてしまったんですね。局のお偉方はとっても機嫌が悪くて、大きな声を出しまくっていました。帰りがけそのプレゼンに負けてしまった部長の顔を見たけれど、まともに目を合わせられないって感じ。プレゼンに勝った時はみんながみんな熱い広告マンに見えるけれど、負けてしまった時は悲惨ですよね。特に扱いが大きくて、しかも今まで制作してきたものだとすべての人間性が否定されているように見える。やっぱり負けると辛いし痛いね。部長の立場はないし、部の存続にかかわる問題だよね。会社的にも大きなダメージだろうな。近頃は扱いがなくなったり減ったりしても、それを取り返すチャンスも新規もなかなかないから大変だよ。ほんとうにほんとうに、心臓に悪い話だよ。

 
 
2月13日(水)

結婚の約束をして指輪まで選んだというのに、いいからその指輪を黙って返せというような目にあってしまいました。えんえん続いていた作業でプレゼンもして案まで選ばれて、いよいよ実制作というところまできたのに「もう一度」だってさ。しかもゴーサインがでたその日のうちに、そんなこといってくるなんて詐欺だ、犯罪だ。指輪でいえば、ダイヤモンドはやめて他の石でもう一度探してみようか、っていうことになるのかな。予算の問題だったら石を小さくするなりできるけれど、いきなり他の石といわれてもねぇ。勝手だよ。気持ちの振幅があって疲れた。もう話なんか聞けない。その気になれない。前のことなんて、みんな忘れた。飽きた。思いっきり強気に出たいところだけれど、実際はそうもいかないのよね。クライアントの事情もわかりたくはないけれど知ってしまっているところもあるし、これで制作ができないと、うちの局がつぶれるかもしれない。うちの部のみんなの顔に、疲労感がでています。うちの局、どうしたんだろう? いっそお祓いでもしたほうがいいのかもしれないよね。

 
 
2月22日(金)
スカートの裾をふんづけられても、真紀子さんは転ばなかったのよね。どうやらそれだけではすまないようですね。スカートのせいではないと思うけれど、またまた風邪をひいてしまった。電車や会社でも、風邪をひいている人が多いな、と思った途端に風邪をひいてしまうみたい。どうしても抵抗ができないらしい、自分の体の単純さを呪ってみても仕方がないのよね。ちゃんと冬の初めと終わりに欠かさずに風邪をひく、この律儀さがいけないのよ。しかも花粉症まで患っているの。もう残された一生分のくしゃみはしたと思うけれど、許してもらえないみたい。マスクに赤鼻よ。鏡をみるのも、呼吸をするのも、なにもかもが面倒。風邪には寒い日よりも暖かい日がいいような気がするのに、花粉症には天気が良すぎるのは困りもの。曇りで暖かい日を希望します。明日はクリニックにいって薬を飲みまくるぞ。
 
 
2月26日(火)

なんとなくいい感じなのよ。仕事もなんとか先が見えてきたし、体調も現代医学のおかげでつらさが和らいできた。だから、そろそろいいことがあってもいいじゃないと催促がましく思っていたところなの。それがねぇ、あったのだ。あるテレビ局の関係者にご飯を誘われてしまった。テレビ局の人だと、すぐにばれるから嫌なんだけど、その人は局の人ではなくて関係者なのよね。もちろん携帯の番号も交換したものね。まあ携帯の番号ぐらい交換するものよ、と言われればそれまでなんだけれど近頃それもなかったもの。どうせ食事するなら、新しく出会った人としたいし、楽しくしたいし、できればデートっぽくしたいじゃない。恋愛もけんかも別れも仕事も、みんな食事から始まるのよ。だから食事を甘く見てはいけないのだ。せめて連絡があるまでは、食事に行くまでは、少しだけ期待してウキウキしていようっと。

 

(3月へ続く)