明日に向けて少し前から準備していたことがあったんだけど、なんとか目処も立った頃から気になる人がいるの。気になるイコール好きではないのよ。その人はクライアントの人で、こないだしつこく食事に誘ってきた人とは違う別の人なの。まだ若くて、素直で明るいのが取柄の人に思えたの。立場や少しは年齢も違うけれど、私も慣れていないこともあるのでなんとなく親近感があったわけよ。たまたまその人に話をしたことを気に入ってくれて、上司にも話を通してくれることになったわけ。まあ、すんなり話を通したかといえば、少しは彼の言うことも考えたし、彼の立場や時間的な問題なんかもあって、話がまとまればいいけれど今回は難しくても仕方がないかも、という読みもあったわけよ。
結局はうまく話がまとまったんだけれど、おかしいのが彼の態度なの。それまでは若くて素直で明るい人だったのが、話が進み出してまとまりそうな気配が見えてきてから、態度が明らかに変わってきたの。言葉づかいとか、立ち振る舞いが、変化してきた。偉そうというのではないんだけれど、どっしりしてきたのよね。初めは電話で話していたときに、言葉づかいと間の取り方が違うなと感じたの。でも電話だけだから、話しにくいのかと思っていただけ。ところが顔をあわせても、こないだまでの彼と違っているの。あまりの変化に話の途中で、何度か吹き出しそうになってしまった。後で一緒に行った人に聞いてみたけれど、やっぱり変わったと言っていました。自分が責任をもって話をまとめたという自信が、彼を変えたみたいね。この話を彼に持っていった私としては、彼をたくましくして差し上げた気分を味わっているのだ。
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