●2004.10月● おそろしい人災と天災。
 
10月4日(月)

イチローの新記録に、興奮覚めやらぬ男たちがこんなにいたんだと、つくづく感心させられた1日になりました。きっと記録達成の日も家族や友人と、イチローの偉業について語り合ったのかまくしたてたのかは知らないけれど、思う存分熱弁をふるったはず。それなのに会社に出てくれば、また語りたがる男が多いのよね。こっちがさしたる関心をもっていないとわかると、ここで2つのパターンに分かれた。多かったのが、“知らないなら教えてあげよう”のお節介親切コース。そして、“この偉業に感動しない非国民”というのが感動強要コース。どちらも、ちょっとヘビーなんです。一応、すごいことを成し遂げたんだとか、メジャーの頂点なんだとか、あのイチローが全身で喜びを表現しているよ、ぐらいの認識はあるんです。それでも語り合えないヤツということで、何人の男たちから白い眼を向けられたことでしょう。はっきり言います。「あなたは、イチローの親戚 か友人なんですか?」いくらイチローと熱くなっても、イチローはあなたを知らないんです。それなのにイチローと、呼び捨てにしてるのよね。私を見なさいよ。憧れと尊敬と愛をこめて、武君って言っているじゃない。スポーツ選手や芸能人のこと、呼び捨てにするのはよくわかるし、私も会ったこともない人のこと、ほとんど呼び捨てにしているよ。でもさ、憧れや尊敬があれば敬称くらいつけてもいいんじゃない? イチロー君かイチローさんか。声援を送るときには、やっぱり向いてないか。とにかくスポーツ音痴に熱くスポーツを語るのは、ほどほどにしてくださいな。

 
 
10月13日(水)

すごく落ち込んでしまいました。私をとことん落ち込ませたオヤジ、謝れよ。銀座をボーっと歩いていたら、声をかけてきたの。前屈姿勢だったので、道でも聞かれるのかと思ったら、一応ナンパだったんです。もごもごと「急いでいないんだったら、お茶でも飲みませんか」だって。無難に、今から用事があるからとやんわりと断ったんだけど、そいつが再度チャレンジするんです。地方から出てきて新幹線で帰る予定なんだけど、まだ時間があるとかなんとか。確かに嘘ではなさそうなんだけど、私だって大嘘をついたわけではないんです。必要なものがあったんだから。用事があるのは本当だし、お茶する時間がないことも言いました。ちゃんとお話しして失礼したのに、振り返るとそのオヤジがついてくる。たまたまかな、なんて思ったのが甘かった。私がお店に入って何気なく外を見ると、そのオヤジがボソッと突っ立っているの。こっちを伺いながら。買うものは決まっていたんだけど外に出るのが嫌で、必要以上に念入りに検討してしまったわ。チラチラ確認するたびに、突っ立っているので30分もかかってしまった。さすがにもう、お店の前にはいなかったんだけど前後左右そのオヤジがいないかどうか確認しながら歩いたので、クタクタよ。その後で考えてみたら、一気に脱力しましたね。だってさ、ただの寂しいオヤジなんだもん。せっかくナンパさせるなら、もう少し考える余地がある人がいい。だってさ、「他人はあなたを映す鏡だ」なんて言うじゃない。ということは、ねっ。かなり落ち込むでしょう。そう、私がすべていけないんだわ。だからさ、もう少しどうにかならなくちゃいけないってことよね。見ず知らずのオヤジのせいで、目を向けたくない現実を少しだけ見てしまったような気がするわ。

 
 
10月20日(木)

今年はあまりにも、台風が多い年ですね。台風が来ると、自然の恐ろしさを思い知ることになります。自然の恐ろしさとは、もちろん激烈な雨風のこととそれに伴うさまざまな事です。会社で言えば、早く帰宅するようにとのお達しなどが出るのですが、それにもやはり例外はつきものです。仕事に支障がないことが前提になるのですね。昔は、女子社員というのも加わっていましたよね。女子社員や仕事に支障がない人は、というのも問題ですが、ただ単に仕事に支障がない人となるとそれはそれで問題だったのです。だって明日の朝一というのがあって、明日の天候や交通機関がどうなっているかなんてわからないからこそ、今日中に準備しなければならないわけでしょう。帰りたいのに帰れない。誰かと分担したいのに、人がいない。寂しくて、心細くて、困ったものです。なんでこういう時に、というのに限ってしっかりと当たってしまうような気がする。くじ運はいいとは言えないのに、どうしてこういう時は当たりを引き当ててしまうのだろう。そういえば学生時代も、どうせ指されないと思っている時に限って、あてられてしまったかも。もう台風は来ないでほしい、と願わずにはいられません。

 
 
10月25日(月)

今度は、地震が来てしまった。東京の揺れもかなり怖かったですよね。先週の土曜日は、友人と会ってお茶をしてました。大きなガラス張りの窓際の喫茶店でしたが、2度目の揺れで窓がミシッと鳴ったんです。気がつくと前に座っていたはずの友人の姿がないんです。1人だけ窓際から離れ、奥に避難していました。やっぱり女友達です。それまでいろいろと話していたのに、仲もいいはずなのに、逃げるときは1人です。これが現実です。女の友情に地震で亀裂が入りました。こういう時、彼氏や夫だとどういう違うんだろうな。せめて一緒に避難してくれる人が、大事なんだろうな。

 

(11月へ続く)