●1996.12月● 29才のクリスマス
12月5日(木)

 あれから、もう2週間よ、まったくうんざりだわ。たった1回、 しかも4人で食事しただけじゃない。もし、私にその気があった ら、3回目ぐらいの電話で次の約束しているわよ。これ、こない だのWデートの話。あれね、同期の男が、最近ちょっといいなと 思っている女の子と会う口実づくりでもあったわけ。まだつきあ っているわけじゃないから、私に友達を紹介するという古風な手 に協力したわけ。つまりダシにされたんだけれど、私としても恩 を売っといて損はないし、その友達に期待もしていたわけ。

 それなのに、ろくに話題も提供できないボーッとしたヤツだっ たわ。そいつがよ、翌週から会社にTELしてくるんだから。「 予定がある」とか「いま、忙しいから」と冷たく言っても、気が 付かない。「じゃあ、家に連絡しようか」だって。頭にくること に私も、プレ取れなかったからけっこう席にいてTEL取っちゃ うのよね。いい迷惑よ。どうして私が、ワリカンで食事しなきゃ いけないのよ。そんな男におごらせると、後で何いわれるかわか ったもんじゃないし、同期の顔つぶすとロクなことないしね。ち ょっとでもクリスマスを期待してしまった自分が情けないわ。

12月19日(木)

 そうそう、M子とHさんの話をしなくちゃ。きのう局の忘年会 があったんだけど、もちろん私はHさんのそばで、聞き耳を立て てリサーチをしましたよ。ところが、ビールを飲んでも、日本酒 がはいっても、誰もHさんをからかったりしないの。遊んでたり すると、こんな席でおもしろおかしく言われるじゃない?でもい つまで経っても、Hさんのそんな話なんてでてこない。このチャ ンスを逃してなるものかと、Hさんを直撃。「M子から聞いてる わよ!」そしたら、Hさんは「もう、関係ないよ」の一言。で、 もっと詳しく聞きだそうとしたんだけど「全部忘れた」というシ ンプルなお答えでした。Hさんとしては、M子が気づいていたこ ともあるだろうけど、家庭を壊すつもりはなかったらしいの。ど うするM子!!

 まあ、私だったら遊びだったら許すだろうけど、本気なら全く 話は別ね。本当、男って勝手なんだから。いずれにしてもタレン トの奥さんじゃないんだし、笑ってすまされる話じゃないわね。 じっくり反省させなきゃ。けっこうこれがきっかけで、今度はM 子が「不機嫌な果実」しちゃったりね。まだ結婚もしていない私 には、よくわからないわ。とりあえず、いまM子が別れるとは思 わないから、私も必要以上のことは話さないつもり。まあ、来週 の「ごめんねクリスマス」にかけるHさんの意気込みは評価でき そうよ。

12月25日(水)

 やっぱりクリスマスは、ホワイトクリスマスに限るでしょう。 オホホホ…わたくし昨日は休暇を取って、苗場に行きましたのよ。 そりゃあもう、たいへん楽しかったですわ。えっ、誰とですって! いやですわ、まるでワイドショーみたいですわ。ほら、大学のゼ ミが一緒だったYがママになるっていう話を聞いたときに、苗場 を押さえているという情報を仕入れていたの。女同士のグループ で部屋も大きかったから、一人ぐらい増えても問題ないしね。キ ープしといて悪いことなんてないでしょう。

 でもね、どうせ一人ぐらいは、男を見繕ってキャンセルするだ ろうなんて思っていた。かくいう私も「どうしてもはずせない仕 事が入っちゃったらごめんね」なんてボディーブローは入れとい たんだけど、全員参加。逆に女同士の友情を深めてしまった。確 かにカップルも多かったけれど、おもいっきり滑って、食べて、 飲んで、歌って、生き返ったわ。かわいい年下の男の子とも知り あいになれたしね。でも2年ぶりのスキーで、今日は筋肉痛。

 そう言えば、あのしつこい男は、どんなクリスマスを過ごした のかしら?実は20日の金曜日も電話をくらったから、「昨日、 急に彼ができたのよ!」って言ってやったわ。あー、スッキリし た。


(1月へ続く)