●2002.4月(2)● 鈴木宗男




鈴木宗男 (政治家 1948〜)

北海道生まれ。拓殖大学政経学部卒業。大学在学中より故中川一郎衆議院議員の秘書を務め、1983年、衆議院議員初当選。1989年に防衛政務次官、1991年に外務政務次官、第2次橋本改造内閣では北海道・沖縄開発庁長官、小渕内閣では2期連続で内閣官房副長官に就任。また、自民党内でも総務局長、対外経済協力特別委員長などを務める。2002年、北方四島支援事業の関与を始めとした数々の疑惑により、3月11日に証人喚問を受け、3月15日に自民党を離脱。著書に『世界が変わる日本が変わる』がある。

(編集部注)今回は特別に、ブラック&クラブ系音楽ファン向けの内容となっています。コラム中の「ムネオハウス」とは、「友好の家」のことではなく、インターネット上で話題になっているハウスミュージックのこと。鈴木宗男の答弁をラップのようにして使うなどパロディ色が強い。
●中尊寺の分析●

実際に鈴木宗男がDJとして「ムネオハウス」を回しているかは別として…「ムネオハウス」がムーブメントになっていてMP3でみんながダウンロードしていると言われているけど(本当の音楽ファンはこの手のものに騒がない)、別になあ。ハウスの人たちはこの手のシャレが結構好きで、もう忘れちゃったけど今までもこういうの国内で結構色々あったしなあ。ハウスって匿名性の高い音楽で、いくらでもアイロニカルにやれたりもするからね。

私は宗男はやっぱりラップじゃなきゃダメだと思う。アシッドハウスなんて全然弱すぎ。政治家なんだからMCとして! マイクロフォン・マスターとして、マイク回されてフリースタイルで「ムネオ・イン・ダ・ハウス!」<"Muneo in da(=the) house!" ムネオはここにいるゼ! とか自己紹介的意味です。ここにはハウスミュージック的な意味はない>とやらなきゃ。ガンガンにライミングして、フローはちょっと北海道訛りで言葉の暴力をハードコアヒップホップで飛ばしてもらわないと。疑惑の政治的メッセージ! 中川一郎がどうした!? 辻元清美をディスれ! そして乗ってる車は“うえっさい”。ブリンブリンのキャデラックのドゥビルとかシェビーのモンテカルロの古いやつのオープンでハイドロ積んでゆさゆさ揺れまくり(ムルアカが揺らして自家ハイドロをやっているのではない)。そんな車にあの目つきのムネオが乗ってなければ「キープ・イット・リアル」とはいえない。

…とまあいきなり音楽バカっぽい切り口のみで恐縮ですが、もう宗男は国民にとってキャラとしてしか認識できないという域に達しているのではなかろうか。もちろん、彼のやった一連の想像を絶する疑惑の数々は、一納税者としても許しがたいものではある。ムルアカを個人的に前から知っている私はずっと宗男の動向を追ってきたし、これからもマンガにしていく。DJムネオではなくMCムネオとして。

中尊寺ゆつこのヒップホップ小辞典
ハウス ディスコ・ソウルとヨーロッパのエレクトロ・ダンス・ミュージックを融合させた音楽。
ラップ リズムにメッセージ(歌詞)を乗せる形の音楽。
アシッドハウス ハウスミュージックの一種。幻覚を誘うようなサウンドが特徴。
MC マイクロフォン・コントローラー。要するにラッパ−のこと。
ライミング 韻をふむこと。
フロー ラップの言葉ののせかた。
ハードコアヒップホップ ヒップホップの一種。激しい歌詞とサウンドが特徴。
ディスる ディスリスペクト(蔑む)
うえっさい west sideをウェッサイ〜と発音することから西海岸のギャングスタ・ラップカルチャーをこう呼ぶ。
ブリンブリン ギラギラの黒人成り金テイスト
ハイドロ 油圧で車体を上下させる機能
キープ・イット・リアル マジだせ!という意味のストリートの言葉