●2003.3月● 重い春です。
 
3月4日(火)
同期の友人が、入院したと聞いた。昨夜、救急車を頼んでそのまま入院してしまったとのこと。友人は一人暮らしをしているので自分で救急車を呼んで、翌朝も自分で会社に電話をかけてきたらしい。はっきりした病名までは不明だが、どうも強い痛みがあるらしい。

そんな話を耳にすると、頭が下がる思いがするわ。同じ年なのに、しっかりやっているのね。きちんと一人の生活者なんだもん。世間では当然のことだろうけれど、真ん中に会社や仕事のことがあって、自分のことなどどこまでまかなえているのかもわからない私は、恥じ入ってしまった。自分に足りないものが多いのでは、と思う。そう思い続けながら、ずっとこのままできてしまったのではないかしら。そしてまた、これからも大きな変化とは無縁で、生活者としては希薄なままなのかもしれない。とくに近頃、同期や同年代で、今回の友人ではないけれど入院をしたり、持病を持っていたりする人がいるせいかもね。中には休職していた人もいるんです。病気に気をつけなくてはいけない年代に突入してしまったのよね。大体が時間がなければ、食事も睡眠もどうでもいいことになってしまう。そのくせお酒や煙草は、身近にある。ストレスを発散する間もなく新たなストレスを抱え込むことだって、ないとは言えない状態だもん。病気にならないほうが、偉いのかもしれないわ。

よく広告代理店の人は、引退してすぐに亡くなる人が多いといわれるけれど、まんざら嘘でもないと思うのよね。悲しくて、怖い現実なんです。そんな現実を背に、日々をやりすごしているのかも。昔のように、男性だけの話ではなく女性も疲れていますもの。友人の心配をしながら、目に見えない恐怖を感じてしまった事件です。

 
 
3月10日(月)
思いがけない所で、懐かしい人に出会ってしまった。広告関係の集まりだったから、まったく思いがけない所ではないはずなんだけど、まさかその人たちにお会いするとは考えていなかったので、どうしても思いがけない所になってしまうわけ。再会したのは、元上司のお二人です。もう十数年経っているのに、すぐに名前が出てきたし私も忘れられてもいなかった。ああ、よかった。しかも記憶の糸も、どんどん出てくる。

懐かしい話ができて楽しかったことに間違いはないんだけれど、懐かしい話というところが少し厄介だったかな。そう、十数年前の私といえば、まだ初々しい頃のことでしょう? もうほとんど新人だった頃の話というのは、赤面ものよ。「そんなことありましたよね」「そうでした」という相槌を打ちながら、冷や汗ものよ。よくもそんなこと言ったな、という若気の至りを散々突きつけられました。若さっていいですね、大胆さと迫力があって。

たまになにかのきっかけで昔のことを思い出すことがあるけれど、背中がぞくぞくしてすぐにその思いを封印してしまう。ここは触れてはいけない思い出の箱なの。それが軽く今の話をし終えてしまうと、昔話になるじゃない。元上司という揺るぎない立場は、健在よね。言われるがまま。笑われっぱなし。誰か知り合いが聞いていないか、とドキドキしっぱなしでした。でも、お元気なお二人に再会できたし楽しそうにしてくださっていたので、少しはご恩返しできたかな。

 
 
3月20日(木)
また戦争が始まったというので、このところ在席者数が多いみたい。出張を控えさせているからなんだけど、いろんなところでばたついているみたい。とうとうこの日が来てしまったけれど、戦火も見えないし、爆音も聞こえない日常がある不思議さがある。本当は、買ったまままだ見ていないDVDも気になっているし、プレーしたいプレステもあるんだけれど、しばらくは自重しようかな。これぐらいは我慢するんだ、そういうことにしたんだ。
 
 
3月27日(木)
指が痛いよ。右手の二本よ。人差し指と中指をねんざしてしまったの。どうやら人差し指の方は、ひびが入っているらしい。紫色になって腫れているもん。中指だっていつものようには曲がらないし、触ると痛いし、腫れているのよ。でも二本とも固定してしまうと、ペンももてないし、パソコンも触れない。電話も取れないし、ということでむちゃくちゃ、不便です。肩や首も凝りまくっているし、寒気がして仕方がないよ。

手を使わないことが一番大切らしいけれど、そうもしていられないじゃない。おまけに、中指には仕事をさせているわけよ。診てもらった整骨院で、「手の関節のねんざは治りにくい。元通りに治らないかもしれない」なんて言われてしまった。しかも、「レントゲンを撮りに外科に行った方がいいかもしれないけれど、手術はしない方がいいかもしれない」とまで言われたのよ。いやになっちゃった。そもそも外で小さな子供が急に走り出して私のほうに向かってきたのを避けようとして、目の前の塀に手をついてしまっただけなのに、こんなことになっちゃった。痛いよ。困るよ。子供のバカ! 会社でも出先でも、私の右手にぶつかる人が多いよ。みんな、しっかり歩きましょうね。

 

(4月に続く)