●2003.4月● 白い指先が悲しい。
 
4月2日(水)
いつの間にこんなことになってしまったんだ、SARS。うちの局でも、明日から香港入りするロケがあったので、行ける行けないと大騒ぎです。ロケに行ったとしても、SARSに感染してしまうかもしれないし、成田で足止めをされることも充分考えられる。予定通りに編集ができない可能性が大きい。ロケを中止にすると、キャンセル料はかかるし企画からやり直しになる。オン・エアの問題もあるので、大問題なんです。

お得意は、こんな状況では無理なのでは、と少し前から言ってくれていたようなのですが、こちらはそんなに気にしていなかったんですね。それが昨日の夕方のマンション住民避難騒動から一転して、これはどうするんだということになったわけ。キャンセルするなら早めに対応しないと、問題がどんどん大きくなってしまう。香港と連絡を取り合いながら、みんなが殺気立っていた一日です。至る所で、いざこざが絶えない有様です。激しい口調の電話は多いし、頭を抱えている人ありです。担当でもないくせに、すごい不機嫌になって大騒ぎしている人もいる。

こういうアクシデントが起こると、その核心にいないくせに騒ぎに同調するくせ者が必ず出現するから参っちゃうのよね。こうやって騒ぎ立てる人って、ほんとうに迷惑です。ただでも殺気立っている空気を、より険悪で複雑にする。そういう人には、とっとと席をはずしてもらうか、口を閉ざす社則を作った方がいいと思うのよね。結局、会社の判断もあり、ロケは中止になったので事態は深刻です。私はといえば、直接担当していないこともあり、包帯を巻いた手を上げて降参していました。

 
 
4月14日(月)
アトムは誕生日を迎えたし、東京ディズニーランドも20周年を迎えたんですね。両方とも知っている。かなり、よく知っている。それも今現在、知っていることなんかでないのだ。昔からごく当たり前に目にしてことが、こんなに時間が経っているものだったなんて。アトムの誕生日に自分は幾つになっているのか、数えたあの日が懐かしい。ディズニーランドの広さにクタクタになり、でも夢でミッキーに会えますようにと本気で願った子供だったんだよね。そんないたいけな子が、こんな中途半端な大人になっているんだよ。

先日、電話をくれた友人はロンドンから帰ってきたばかりでした。ご主人の赴任先から4年ぶりに帰ってきたんだけど、あの時連れて行った赤ちゃんがもう幼稚園に通っているんだって。日本にいなかった間「何していた?」と聞かれ、絶句していまいました。特に、別に、たいして、何にもないのだ。のっけからそんなきわどい質問をされて、答えに窮したので「そっちこそ、何してたの?」と聞いて、何もしていなかったという返事で、友人を続けていくことにしました。海外で言葉が通じないので、孤独だったそうです。けっこう可哀想なので、そのうちに会うことにしました。そういえば、その友人とディズニーランドに行ったんだ。親なしではじめて行ったディズニーランドだったわけよ。懐かしいな。

 
 
4月22日(火)
本は宅配にしています。お昼はサンドイッチか洋食です。なぜかというと、右手の中指がパンパンに腫れてしまったから。あれからほぼ1ヶ月が経とうとしているんだけれど、まだ痛いうえに腫れてしまったわけ。どうもおかしいと思って整形外科にいったら、ひびが入っていたのは人差し指だけでなく、中指にも入っていたかもしれないんだって。しかも整形外科では、3週間完全に固定するんだって。今ごろそんなこと言われて、倒れそうになりました。なんだよ、整骨院。ほったらかしじゃない。整形外科では、痛み止めの軟膏までくれたぞ。おまけに、リハビリまであるといっているぞ。そんなこと全然知らないから、人差し指は自分で固定していたけれど、中指なんてなんにもしていなかったんだから。そしたら昨日からすごく腫れて、熱まで出るから心配になったのだ。自分で心配しないと、誰も本気で心配してくれないのが、今回よくわかりましたとも。

とにかく昨日は書くことが多くて、ずっとメモっていた。しかも右手に包帯を巻いているというのに、会議室の机まで移動させちゃった。どうやら、中指を固定していなかったうえに、指を使い過ぎたせいで腫れているらしい。痛くて、だるいよ。人差し指だって、まだまだちゃんと曲がんないんだから。どうしよう。マッサージは大好きだけど、整骨院なんか信用できない。「整形外科はすぐ手術する」なんて言って、嘘つき。ちゃんと中指も固定するように言ってよ。2本とも骨が出っぱっているんだから。元通りに治らなかったら、訴えてやるからね。

 
 
4月30日(水)
やっぱり顔つなぎは大事ですよね。連休とは無縁の今年のゴールデン・ウィークの間に、先日再会したばかりの上司を囲む会があったんです。どうせ出社しているし、右手が痛くて遊べないので、遅れてでも出席しようと思っていた心がけがよかったのかしら。おいしい竹の子ご飯も食べられたし、元上司の知り合いの人もいろいろ紹介してもらえました。こういったところで知り合いになれると、お互いに助かることもあるんです。とくに元上司が人間的に穏やかな人なので、この人の知り合いならという安心感もあるかな。その中で、新聞社の人とも出会ったわけ。ちょうど年も同じ年。なかなか話のおもしろそうな人でした。今日はデジカメでみんなの写真を撮ってくれていたので、後日送ってくれるんだって。まだまだ手は痛くて、しょんぼりしていたんだけれど、写真に期待しちゃおうかな。
 

(5月に続く)