●1997.9月● さよなら、ダイアナさん
9月7日(日)

今日は、あのダイアナさんのお葬式。こんな日に、知り合いの友 人がライブをやるから来てくれないかと誘われたんだけど、それ よりやっぱりお葬式でしょう。お葬式にワクワクしてしまう私っ ていけないかしら。でも、みんなもそうでしょう。もう、あの笑 顔も大胆なドレスも恋の行方さえも、なにひとつ新しいものなん か無くなってしまったんだから。

と、こんな日にこの2週間ほど前から画面に長体がかかって調子 が悪かった家のTVが完全にイカれてしまった。ゆすっても、叩 いても、映るのは中央に白い線が一本だけ。このまま巨大ラジオ に耳を傾けて中継を聞こうと親父が言い出したのが、7時10分前。 こんな事で、世界中の何億人もの人が見守る映像をみすみす見逃 したくない私と母親が大反対。結局、親父が電気店に走ってTV を買って、自分で台車をひいて戻ってきたのが8時すぎ。もうダ メだと、何度も思ったわ。そして待望のTVがついたのが、8時 30分ごろだったわけ。エルトン・ジョンがキャンドル・イン・ザ ・ウィンドを歌っているのを見たら、Wでジーンとしちゃった。 きっと昭和30年代、初めて家庭にTVがやってきた時って、こん な感じだったんだろうな。だから、生中継が終わったあともチャ ンネルを回し続けて、やっと葬儀全体を把握したわけよ。全く私 としたことが…。

 それにしても、日本からは誰も葬儀に参加しなかったのかな? それともヒラリー夫人のように招かれなかったのかしら。どうな の?わりと日本にとってイギリスは、親交というか係わりのある 国だと思っていたのに、イギリスにとってはそうでもないのかな ぁ。あと、やっぱり気になるのは、ダイアナさんが眠るスペンサ ー家の小島よね。でも、これ以上の報道は、どう考えても難しい わよね。安らかに眠れなくなっちゃうもんね。でも、ほんと「イ ギリスのバラ」とは、うまいこと言うわね。TVを通して見る限 り、イギリスの人たちは本当に悲しんでいるように思えたわ。そ のへんのところ、ロンドンに出張中のうちの会社の人たちが戻っ てきたら聞いてみるつもり。

9月19日(金)

ロンドンの撮影から戻ってきた人たちに聞いたところ、市内のい たるところで献花が続いているとのことでした。よくわからない けれども、王室は市民に近いところにある感じがしたともいって いたわ。あれだけの人が悲しんでいるのも、これで納得。

 私がこの件に関して思うのは、女性は感情移入しているのに対 して、男性はわりとクールに受け止めている人が多いということ。 私は、カミーラなんていうオバさんと切れなかったチャールズが 悪いと思う。いくら都会的なものが苦手といっても、カミーラな んかじゃなくてもいいじゃない!だいいち、あの人、人妻だった んじゃない。次期、国王なんだし、ダイアナと結婚したくせに。 ダイアナだからフィーバーも起きたけれど、カミーラだったらだ れからも相手にされないと思うんだけどな。夫にはオババの愛人 がいてそのうえ、しっかりもののお姑さんはいるは、でダイアナ は大変だったはずよ。それでも王子たちのために、離婚はしない と言っていたじゃない。別れたからには、今度はなにがなんでも 幸せになるしかないじゃない。

でも、これが男性からみると違うのよね。結婚に対しての自覚が 足りなかったのは、ダイアナさんの方だという。その分、贅沢も しているんだから、愛を求めずに表面上を取り繕うべきだったと。 それにカミーラは、チャールズをやさしく包むことができる人と 解釈するらしい。うーん、難しい。男と女ってやっぱり違うけど、 男は自分の理想を押し付けがち。でも本人は満足できなかったん だから、あの結婚は不幸だったしチャールズの責任は重いと思う わ。

9月25日 (木)

急に寒くなったのと、残業続きのハードな日々で、風邪をひいて しまった。おかげで毎日遅刻気味。おまけに外出先で雨に降られ、 おもわぬ相々傘にドキドキしてしまった。これだから、秋はイヤ よ。いい男は、一人残らず結婚しているような気がするわ。友人 は、男よりステップ・アップの秋でお稽古に通うと言っているけ ど、私はとても通えそうにないわ。

9月29日 (月)

今夜、私は見た。昨年の夏まで、つきあっていた元彼氏を。と 一緒に、タクシーに乗ろうとしていたわ。女をパッと見て「あん た趣味変ったの?」と嫌味のひとつも言ってやりたかったけれど、 大人げないからやめといた。2人が乗ったタクシーをぼんやり見 送ったわ。あれからもう1年か…後悔なんかしていないけど、何 だか急に夜風を冷たく感じてしまった夜でした。


(10月へ続く)