●1998.8月● 夏のせいかしら?
8月5日(水)

おととい会社を休んだおかげで、夏風邪も梅雨明けとともにやっと直ったみたい。例の製薬会社のKさんから昨日会社に連絡があって、予想通りといえばその通りに今夜お食事に行ったのさ。Kさんったら、月曜日もtelくれたんだって。今日も病み上がりだからって、車で出勤して私の家の近くのホテルでイタリアンを食べたの。Kさんって、第一印象そのままの真面目でマメな人。見た目は、熱血製薬マン赤井英和なんだけど…。

こういうセールスの仕事をしている人たちにとって、いつも気になるのが広告なんだって。社名やイメージって、大切だもんね。Kさんも他の製薬会社の広告をよく見て知っていたもんね。自分の会社も、もっといろんなCMができたらいいのにと言っていたわ。こんな話をたまたま聞くと、ちゃんと仕事しなくっちゃと思うわね。それからこれから薬を買う時は、Kさんの会社のものにしよう。帰り際、いつでも気軽にtelしてねと言っていたこの人は、ナイトにいいかも。

8月15日(土)

今日から2泊3日で、軽井沢なの。恋も天気も不順なこの夏、なんにも考えてなかった私に、同期のM子からお誘いがあったのが、8月に入ってから。人妻M子に何があったのかという期待半分、軽井沢の風に吹かれてのんびりしたかったのが半分でOK.。夕方、万平ホテルに到着して、お茶した私たちが軽井沢銀座で見たものは…!

なんと、あのY君が、うちの部のY君が落ち着いた感じの美人と一緒。しかもパン屋で、買物なんかしているじゃない。軽井沢に行くなんて、ひと言も言ってなかったくせに、女連れとは…? 驚きのあまり声もかけられなかった私とM子の目の前で、パンとワインなんか買って出て行ったのよ。Y君、誰なのあの人は??? どうしてそんなもの買っているの? とてものんびりなんてしてられない。だって、道行く人が、みんなY君と謎の女に見えてきそうなんだもん!

8月16日(日)

今日は、M子とテニスをして負けた。こうしている間にも,近くをY君が歩いていそうで集中できなかったのよ、きっと。Y君のことも気になるけど、もちろん人妻M子のことも忘れているわけじゃない。午後はプラプラお店を見たりして、三笠会館でディナー。やっぱりM子には、秘密があった。おいしそうにワインを飲むM子に、どんどん勧めちゃった。今度は旦那じゃなくて、M子の浮気よ。しかも2年前の旦那の時とは違って、疑惑なんかじゃない。既成事実。相手は、フリーのCM演出家なんだって。仕事で知り合って、前からちょっといいなと思っていたとか。まったく「クリエイティブ」ねぇ!

なんでもあの浮気疑惑から、旦那はけっこうマメにプレゼントしたりして優しかったんだって。そこで、ますますM子は浮気を確信して、エバりまくっていたんかとか。ところが最近になって、旦那の態度がデカくなってきたというのよね。まあ、元に戻ったぐらいのことらしんだけど。M子としては、2年経ったけどすんなり認めるわけにはいかないんだとか。そりゃあ、M子の気持ちもわからなくもないわよね。本気で恨んでいるみたい。で、こんなことになったんだって。「タイミングもちょうどよかっただけ、ほんの出来心よ。」なんていってたと思うんだけど…。 私だって酔っ払ってるけど、だいたいこんな話だったかな? 口止め料にご馳走させたけど、これからどうなるんだろう。今度は、ご馳走して続きをきかなくっちゃ。

8月17日(月)

プリンスホテルで遊んで買物をして、お土産を買おうとして考えた。あえてY君にお土産を買うかどうか。だって気になるんだもん。昨日のM子のはなしもあったし、ほんと東京に帰ってきたら、クタクタになっていた。条件反射のように、Kさんにtelして迎えに来てもらってしまった。Kさんの顔見たら、ホッとして疲れもふきとんだみたい。Y君を釣ろうと思っていたお土産も、あっけなくKさんへと渡ったのでありました。

8月17日(月)

あれから、そう私が軽井沢から帰ってきて会社に出てみるとYのヤツ、一週間も出張になんか行っているのよ。今日まで私がどれだけイライラしていたと思っているの。でも、そんなこと言えないから、横浜の松坂君の話なんかしながら思い出したように、軽井沢の一件を直撃しましたよ。私たちが見ていたなんてこと知らなかったくせに、Yのヤツ「なかなかいい女だろう」だってさ。でも、それは兄貴の嫁さんだと判明。おまけに「小さいけど、一応オヤジの別荘なんだ」とボンということもわかったのだ。私がM君と別れたばかりだかどうだか知らないけど、いつも通り優しくて気のいいヤツ。軽井沢のワインも貰ったしね。もしかして、もしかして、Y君は再チェックなのかしら……


(9月へ続く)