●1996.11月● 人恋しい秋ですね
11月6日(水)

 先週の競合の結果が出た。「最後の2案までは残っていたんで すがねえ」という実に有り難くない、実によく聞かされるお言葉 で、すべてが終わった。惨敗。負けました。こういう時もある。 また今度、頑張るしかない。

11月8日(金)

 大学でゼミが一緒だったYがママになるという。ショック。学 生時代からキャリアウーマンを目指していた彼女は、銀行に就職 してからも為替ディラーになりたいって言って、こないだまで勉 強していたのに。結婚するって聞いた時も驚いたけど、今度は驚 きを通り越してしまった。

 夢を抱いて前向きな子ほど、あっさり結婚して母になって、そ れでいて幸せだったりする。「私は、やりたいことをやってき た。でも、それ以上にこの人と生きていくことにしたの。愛する 人の子どもを産んで育てる。それが本当の女の幸せよ。」とは思 ってないだろうし、ママになってもそれだけじゃないと思うけど 、今の私とは別世界っていう感じ。こないだも女友達と話してい たんだけど、私たちって社会の荒波にもまれ、鍛えられ、たくま しくなっているのよね。自分の時間や自由になるお金と引き換え に。どんどん、かわいげをなくしている。この失われつつあるか わいげを取り戻すのが結婚かもしれないってね。なぜだか急に、 お見合いも悪くないかもなんてマジで思えてきた。

11月11日(月)

 クリエイティブのM子と遅食に行った。お昼を遅く行くと、空 いてるし会社の人もいないから、ゆっくり話しがしやすい。なん でも土曜日にダンナのHさんと銀座のキハチに行ったんだって。 よかったじゃないって言ったんだけれど、そうでもないらしい の。M子が言うには、夫の浮気を見分けるポイントというものが いくつかあるんだって。そのひとつが、新しい店を知っている ことなんだって。おいしかったから、うれしいなんて言ってられ ないらしい。「いつ、誰と来たの?」それだけじゃなくって「ご 馳走したの?」と追究するのが妻なんだって。確かにそうかもし れない。私も、新しい彼ができたら参考にしよう。

 M子も一度疑いだしたら、何でも怪しく見えるらしい。逆にあ まりにも規律正しい生活も、つまんないんだけどね。女心って複 雑だもん。自分で自分がわからないことだってある。M子も疲れ てて、食欲もあまりないみたいだから、気分転換に占いにでも行 ったらとすすめちゃった。

11月21日(木)

 M子に占いに行くことをすすめたら、私も来年の運勢が気にな ってきた。女性誌は、ちょうどいま占い特集。掲載誌をチェツク しているふりして、各誌を読み比べてみたところ、来年の蠍座は 大恋愛の年。結婚は、3年後がいいんだって。32才かぁ。悪くな いね。他には、焦って手を打つと後悔するだの、仕事でミスをす るだの、体調を崩すだの、一人で過ごす時間が増えそうだなんて 書いてあったけど、いいことだけしか覚えておかない。今日は、 初顔合わせWデートなの。これが来年の大恋愛に発展するかもし れないわ。


(12月へ続く)